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Starbucks の Lean(TPS) 採用について、John Shook の記事

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今年8月に、ウォールストリートジャーナルにこんな記事が出ました。

「Starbucksの最新バズワードはリーン。日本流のやり方」

Starbucks この記事の中では、Starbucks がストップウォッチを使って作業を計測することによって効率を上げ、この不況化の中でも利益を上げている、というようなことが書かれています。これに関わったコンサルタント、John Shook が、この記事に足りないことを補足して、書いています。私の前のブログでもちょっと書きましたが、この記事がすばらしかったので紹介します。

A Lean "Teachable Moment: "

これは、ウォールストリートジャーナルの記事が出て、その後のいろんなブログで「Starbucks が工場のようになり、バリスタがロボットのように扱われている」という批判がでているからだと思います。John Shook は、アメリカ人で最初にトヨタの課長になった人。GMと共同でNUMMIを作ったときに、TPSのナレッジをこの工場に移転した本人です。そして、この Starbucks の活動に関わっています。内容は、

ウォールストリートジャーナルの記事では、”ムダを省くことによって利益が回復した”となっているが、重要な点を見逃してはならない。Starbucks は、作業をスピードアップすることが目的ではない。バリスタをロボットにしたいなんて考えていない。全く逆。。。。Starbucks は、そこに来るお客さんとバリスタが対話することで、そのお客さんに満足して帰って欲しい。だから、バリスタがどこに何があるか探したりしている時間を極力省いて、そして、お客さんとの対話に時間をあてたい。その目的を達成するために、バリスタが知恵を絞る、ということをやったんだ。マクドナルトとは違う戦略だ。Leanは目的に向かって考える現場を作る、という人づくりなんだ 。

ということです。これがTPSの核心だと思う。生産産を「流れる」ようにしたことは、明らかにフォードがテーラリズム(科学的管理法)を応用した功績です。だから、TPSの「流れ」の先駆者はフォード。その後、トヨタがやったのは、

  1. この「流れ」を、多品種少量の環境で作れるようにしたこと。
  2. 現場が、この「流れ」のカイゼンに参加するようにしたこと。

テーラーがいう科学的管理法の中の「科学者」の部分を管理者ではなく、「現場作業者」としたことです(Lean is Scientific Management where the scientists are the front line workers, と John Shook は言っている)。参加型科学的管理、と言って良いと思います。

考える現場を作ることが核心。それを技術的な面(ムダどり)と、人間的な面(参加型カイゼン)の両方でやらないと、その現場はうまく行かなくなる。トヨタが「よい品よい考え」という理由はそこにあり、TPS は、Thinking People System とも言われる所以だ。

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