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アジャイルに行こう!

デンマークでAgile と「カイゼン」の話をしました

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いま、デンマークのコペンハーゲンにいます。Agile09というイベント(リンクはデンマーク語。ぼくの写真がトップにあって恥ずかしい)に招待されて、Agile/リーン/TPS の話をしています。

北欧ということころは、もともととてもエンジニアリングに長けている民族のよう。オブジェクト指向言語の起源だし、Bertrand Meyer や Tom Gilb、Jim Coplien  もこちらにいる。また、デンマークは教育や医療がすべて無料、というすごい国です(もっとも幸せを感じる人が多いという統計です)。

ぼくのトークはカイゼンに関するものです。アジャイルがリーン(TPS)の言葉で説明されるようになり、日本から来たぼくのポジションがユニークなものになる、という幸運に恵まれています。今回は、Starbucks の TPS 適用の事例(ウォールストリートジャーナルに掲載された)についてもちょっと触れています(このJohn Shook の記事はとてもいい)。さらに、イギリスで講演の反省を生かして、しっかりメッセージを入れることにしました。リーンには、技術的な側面(キュー、プル=JIT)と、人間的な側面(現場のエンジニアがカイゼンに参加すること)があり、前者だけだと単なる「効率化」になってしまう、ということです。そして、「考える」と「実践する」の2つを分離しないこと。そして、「考える人づくり」こそがその中心となっていること。(ここにマインドマップを置いておきます)

Learningkaiznefromtoyota2009_2 生産を「流れる」ようにしたことは、明らかにフォードがテーラリズム(科学的管理法)を応用した功績です。その後、トヨタのすごいところは、(1)この流れを、多品種少量の環境で作れるようにしたこと。そして、(2)テーラーがいう科学的管理法の中の「科学者」の部分を管理者ではなく、「現場作業者」としたことです(Lean is Scientific Management where the scientists are the front line workers, と John Shook は言っている)。参加型科学的管理、と言って良い。Respect for People の原則です。じつは、これがリーンの核心なんです。

最近、Mary+Tom Poppendieck の新刊が出ました。題名は、"Leading Lean Software Develeopment" というリーダー論を含んだものになっています。そして、おもしろい副題が付いています。

"Results Are Not the Point"

すごいですね。結果は重要ではない。と言い切っています。ではポイントはなんなのでしょうか?(ぜひ、買ってください、まだ英語ですが。。。)

もう1つ、今回の目玉は、Tom Gilb にお会いすることです。彼はKent Beck も認める「最初の」アジャイル方法論者です。Evo 方法論はなんと、1970年代後半に文書化されているのです。PDSA(Plan-Do-Study-Act)を基礎ループとし、早期フィードバックを得ることを肝としたソフトウェア開発プロセス。Agileムーブメントが彼を発見した、というのが正しいでしょうね。そして、彼の息子の Kai Gilb 。彼は、今のアジャイルがとても「開発者中心すぎる」としています。「機能するソフトウェアを顧客に」届けるのではなく、「価値を顧客に」届けるとしなければならない。そして、その価値を定義して、それでもってステークホルダからのフィードバックを受けなければならない、と。Evoは、開発ループからより外側の「価値づくりループ」へと進化しているようです。スクラムでは、この点をPO(プロダクトオーナー)という1人の人間で解決しようとしていますが、POの外側の世界が重要だ、ということです。

それから、最近話題の "Pomodoro Technique" の Staffan にも会うことができて、とても良かった。彼は、ぼくのことを知っていて(Agile2008でぼくの講演は2つとも聴いてくれていた)、ぜひ Pomodoro の講演を見て欲しい、と自己紹介してくれました。アジャイルの考え方を、個人作業の仕事のやり方に適用したもので、GTD 手法の1つ、といえるでしょう。とても、味のある絵と、演劇を使ったプレゼンテーション(ロールプレイを人形を使ってやる)で、アジャイルのルーツとなっているパターンコミュニティの流儀を感じるものでした。

そして、もう1つ今回の収穫は、デンマークの法律家である Nicolai さんが、アジャイル開発を行なうときの契約について、実際の契約書(繰り返し開発による請負契約)のテンプレートを開発していることを知り、それを入手できたことです。この契約に関する資料は、ウォーターフォールとアジャイルのコンセプト説明から、契約上扱わないといけない事項の説明、そして実際の契約書、という構成になっています。これは、「非ウォーターフォール研究会」へのお土産として持ってかえることにしましょう。

世界中で、アジャイルを「現実的な」開発方法として受け入れる方向に物事が動いている。そんな胎動を感じたカンファレンスでした。

Kenjitalking (写真は Troels Hansen が撮ってくれました)

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