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インメモリという「ケタ違い技術」とそのさまざまな事例から、ゲームチェンジャーたちに共通するキーワードを探っていきます。

SAP Helps 南アフリカ Run Better ~(12)データ分析

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10月28日(月)。プロジェクトも3週目、もう後半だ。

アウェトゥ・プロジェクトは、起業家を生み出すことを本業とするインキュベーション事業者なので、KPI(業績指標)としては、

 ①何人の起業家を生み出したか?
 ②その起業家たちはいくらの利益を出し、また何人の雇用を生み出しているか?

の2点を主に見ている。

アウェトゥでは、「毎月1,500ランド(約1.5万円)の利益を出せるようになった人」を「起業家」としてカウントしている。1,500ランドは、一般にこの国の最低賃金とみなされている額だ。つまり月1,500ランドの利益を出せれば、少なくとも自分ひとりは食わせることができる、というわけだ。そしてこれまでにこのラインに達した起業家は500人を超えている。

したがって今回、データ分析の方向性は以下の2つとした。

①コンバージョン(到達率)分析
当然ながら「月1,500ランドの利益」に全員が到達できるわけではない。アウェトゥは誰にでも広く門戸を開いており、今年に入ってからでも数千の参加申込を受け付けているが、育成・支援プログラムを経て、月1,500ランド稼げるようになる人はその一部である。

そこで申込者の属性(たとえば年齢、性別、既存事業を持っているか、過去にどのくらいの業務経験があるか、最終学歴は、第一言語は(南アフリカには11の公用語がある)、営業エリアは、、、)ごとにコンバージョン率を出してみて、なにかしらの傾向値が見いだせれば、今後はそこに力を入れればよいとわかる。

たとえば「中高年の女性は到達率が高い」とわかれば、今後は中高年女性の候補者のリクルートに力を入れればいいし、逆に24歳以下の若年層は脱落率が高いとわかれば、若手向けには養成プロセスをより丁寧に、脱落しないようケアしよう、ということになる。

②売上・利益率分析
「起業家」として認定された後も、アウェトゥではその後24か月にわたってコーチングを提供する。この期間内に、実際に毎月どのくらいの売上と利益を上げているか、とその事業属性(たとえば業種、企業してからの期間、、、)とのクロス分析。

たとえば「○○地区では△△業の売上・利益率が高い」と分かれば、なるべくその業種に力を入れればよいし、起業してから利益が出るようになるまでの期間の目安がわかれば、コーチングするときのベンチマークになる。

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先週ほぼ丸2日、20時間くらいかかって複数のExcelシートの統合とクレンジングを済ませた。つまりやっと、実際の「分析」に入れる準備が整った。

...が、実際にやってみると、事前の予想どおり、確定的 Conclusive と言えるような傾向はほとんど見いだせない。単純に、データが足りないのだ。質、量、期間の3方向ともに。起業家500人と言っても、それを属性ごとに区切って比較するのでサンプルサイズはどんどん小さくなっていくし、まだ起業して数か月という起業家が多数いるので期間も足りない。

しかし確定的でなくても、ある程度の傾向値は見えるし、少なくともファクトとしてグラフで見える化できれば、アウェトゥにとってのバリューはあるとわれわれは考えた。彼らには「現場感覚」はあるが、それを定量的には見ていないので、データが示すファクトはきっと興味深いだろう。自分たちの感覚値と合致していればそれはそれでグッドニュースだし、逆にズレていた場合にはそのズレがどこに起因するのかを考えることが重要だ。

分析内容自体はコンフィデンシャルなのでここには書けないが、アウェトゥの許可のもと、ひとつだけ例を挙げる。

現在のところ、「起業家500人の最終学歴」と「その商売の売上および利益」の相関性は、限りなくゼロであることがわかった。相関性を示す指標、R2(アールスクエア)が、ほぼゼロなのだ。高卒程度の学歴の人が多いが、大学卒もいれば、小学校すら修了していない人もいる中、直観的には学歴の高い人ほど成功しやすいと考えがちだが、少なくとも現状では、相関性はないことがわかった。

現状のデータの量と質では確定的だとは言えないが、もしこれが長期間にわたって立証されれば、少なくともアウェトゥとしては「学歴」によって候補者を選抜するのは間違いだ、とわかる。逆にいえば、たとえば今から12か月後、つまりより長期間にわたって各企業家たちが活動し、好業績を挙げるところが出てくれば、この考察は変わるかもしれない。

確定的な証拠は出ない、とはじめから分かっていて取り組むのは、担当者としては残念といえば残念だが、ポイントは「確定的でなく、わずかな傾向値にすぎなくても、十分役に立つこともある」ということなのだ。

ちょっと違う例だが、選挙の投票日の夜に流れる速報などはその例だ。「開票率4%」とかそんな段階で、もう「当選確実」の報が流れるのをみなさんも目にしているだろう。開票率が4%とは、まだ未開票が96%もあるのだから、もちろん確定的ではない。しかし母集団からのサンプルの抜き出し方さえ間違えなければ、「当選確実」を報じるには十分だ、ということだ。

さきに時間をかけてデータ整備を済ませているので、その後のクロス分析はスピーディに進む。ピボットテーブルとリンクしたグラフを量産していくだけなので、内容によっては1時間で4つくらいはできる。

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私がExcelを振り回している間に、ジェニファーとヴィヴェックはさらにさまざまな部門のメンバーにインタビューを重ね、定性的な側面からの分析を進めている。こちらも、インタビューごとに、いろいろなネタがどんどん出てくる。まあそりゃそうだろう、1年前には3人でやっていた事業が今は50人を超えているのだ。「組織」という概念がなかったころから全力疾走するうちにこの規模になってしまったので、企業体としてのシステムが弱いのは容易に想像できる。逆に言えば、改善提案のネタもたっぷり、ということだ。

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今日は、アウェトゥの「ビジネス・インテリジェンス」を担当しているリーゼルと、3度目のMTGが組まれているのだが、場所はオフィスでなく、彼女の自宅ということになった。サントンとヨハネスブルグの中間あたりに住んでいて、普段は自宅で仕事をし、週1回だけ出社しているので、「よければウチでMTGしない?」と提案してくれたのだ。

指定された番地にタクシーで降り立って、びっくり。住宅街なのだが、一軒あたりの敷地の広さがハンパではない。ここが本当に自宅??――だった。この広さ、美しさ。

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個人宅なので、全容が見える写真は掲載を控えるが、まあ日本の感覚ではちょっと説明のしようもない豪邸。

リーゼルが話してくれたところでは、ヨハネスブルグに戻ってくる前に数年間、夫婦でロンドンに勤務していたが、そのときに住んでいた「靴箱くらいの広さの」アパートより、この家のほうがずっと安かったそうだ。日本式に表現すると、4LLDKということになるだろうか、4部屋にリビング2つ、ダイニング、キッチンがついている。その8部屋すべて、それぞれ20畳ずつ、くらいの感じだろうか。いやはや。 

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広々とした芝生、天気も最高。この家で仕事してるとねー、ダウンタウンに出社する気になれないのよねー、と。そりゃそうだろう(笑)。

環境も素晴らしかったが、ミーティングの内容もとてもよかった。彼女は単なるIT/データ担当ではなく、アウェトゥのビジネスプロセス全体を広く深く知っていて、われわれの疑問や仮説に丁寧に解説してくれ、非常に助かった。アウェトゥは本当に、頭の切れるメンバーをたくさん集めている。

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しかし午前中はあんなに快晴だったのに、ランチを取っている間に天候が一変、ものすごい雷雨に。先々週の土曜日、例の雹が降った日からもう10日くらい、不安定な天気が続いている。大陸の天気はなにかにつけ、荒っぽい... (^_^;

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■サイダー 

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 ランチの飲み物として、「サイダー Cider」を頼んだ。うん、炭酸が効いていて、なかなかうまいぞ。

・・・ なんだ?なんだかホカホカしてきたぞ?

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 ビンをよく見たら、「アルコール6%」との表示が。酒か!

日本のサイダーやスペインのシードルはノンアルコールだが、この国ではこれが普通だとのこと。しかし酒に弱いワタシは、すっかりヨイヨイ(^_^;

 

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