大企業勤めのサラリーマンが起業するまでに味わった試練の話
私ごとですが、今年(2017年)の3月に2年勤めた大企業を辞め、起業(IT系企業)しました。起業前を振り返るといろんな試練がありましたが、今では良い思い出です。そこで、今回はこれから起業しようとしている人向けに僕が起業前に経験した試練と、それをどうやって克服したかを書きたいと思います。
起業するまでの試練
まずはどのような試練が存在したかを紹介しましょう。僕が起業するまでに乗り越えた主な試練は以下の通りです。
- 起業する覚悟を決める
- 起業することを家族に伝える
試練1: 起業する覚悟を決める
まず最初の試練。根本的な問題ですが大企業に勤めていると、「起業しなければならない理由」が中々見つかりません。お金に困ることはないし、リストラや過労死の心配もブラック企業に比べたら低い。理不尽な上司は居るけど、辞めるほどじゃない。これじゃ中々起業する覚悟が決まらないんですよ。
なお、一旦起業する覚悟が決まっても、試練は続きます。
- 「100%成功するの?」
- 「失敗したらどうするの?」
試練2: 起業することを家族に伝える
これも厳しい試練です(笑)。伝えたら最後、絶対に「いい会社なのになんで辞めるの?」、「成功できるの?」、「いい大人なんだから(現実を見なさい)」という言葉を容赦なく浴びせられます(笑)。そして起業を成功させるにはこの人たちを納得させなければなりません。納得させられないとさらにキツイ言葉を浴びせられて蜂の巣です(笑)そしてここでも大企業勤めの人はさらに不利なオプションを抱えています。
現代の国内大手企業は作業の分業化が進んでますからそこで働くサラリーマンはビジネスの全体感を掴むことが難しいのです。例外としてビジネスの全体感を掴めるのは小規模プロジェクトのリーダー職を経験した中堅社員(30代)か、課長級以上の職を経験した人(40代)でしょう。
起業すると営業などのフロント業務から経理などのバックオフィス業務まで全てを自分でやらなければなりません。分業で働いていた人はこの勘所が分からないのです。逆に中小企業では人手不足のために何でもやらされるので、起業する段になると強いです(多分ブラック企業に勤務していた人ほど強いです)。
「周囲の反対を押し切って起業する」という手もありますが、あまりオススメできません。何故ならば起業には「想定外」が付きものだからです。起業後の出来事の9割以上は想定外だったといっても過言ではありません。そしてその時に無条件で頼れるのは家族しかいません。経営者としてこれほどありがたい相手はいません。必ず起業する際には家族を納得させた上で行いましょう。
試練をどうやって乗り越えたか
僕が起業する覚悟を決められたのは起業家の知り合いを作ったからでした。起業家の知り合いを作る方法はいくつかありますが、僕が実践した方法は「本業の終業後にシェアオフィスで働く」ことでした。
シェアオフィスではいろんな社長が働いています。それこそ20代から50代までの社長がいます。その中で働き、社長たちの話を聞くことで、起業のイメージを膨らませることができました。特に「効果的な営業方法」や「贔屓にしてもらう方法」など、具体的なノウハウを教えてもらえることは強いです。ビジネスセミナーに参加しても知識を得ることはできますが、その知識を「どう使うか」は教えてもらえません。現場のノウハウを格安で教えてもらえる場所がシェアオフィスなのです。
また、自分と同じ価値観(大企業に属するのではなく、自分で会社を立ち上げる)を持った人たちと話すことによって、自分の考え(ビジネスアイデア)に自信が持てるようになります。起業を志す人がサラリーマンに囲まれていると、仲間がいないために非常に心細く、弱気になってしまいます。しっかりとした精神的土壌を作るために起業家の知り合いを見つけましょう。
シェアオフィスで働く以外にも、「ベンチャー企業の手伝いをする」という方法も起業の準備として非常に有効です。その企業の手伝いをすることで信頼関係を築くこともできます。もしかしたらその会社が未来の顧客や協業相手になるかもしれません。手伝いを欲している会社は公式ホームページ上に募集をかけていることが多いので、直接電話してみましょう。相手はいつも人手不足なので、どんな手伝いでも快諾するはずです。まずはチャレンジを。
おわりに: レールを外れることは怖くない
僕は起業する覚悟を決める前、「失敗したらどうなるんだろう」と不安で1ヶ月眠れませんでした。不安で仕方ないから「起業で失敗したらこうなった」系のブログを読み漁ったりもしました。しかし、起業してみて分かったことは「起業で失敗しても何の問題もない」ということでした。
サラリーマン時代の僕にとって「キャリアアップ」=「企業内で順当に出世すること」でした。だから起業するとキャリアアップの道が絶たれるかもしれない、と不安になるわけです。一方、起業後は「キャリアアップ」=「お客様からの信用が積み上がること」という風に考えが変わりました。こうなると「上司の評価」とか「勤続年数」とか一般的なキャリアアップに必要な要素は関係なくなります。あるのは「お客様からの評価」のみです。お客様からの評価を得るために、必要に応じて起業したり、大企業に属したり、お客様の会社を手伝ったりすればいいのです。どうです?簡単だと思いませんか?
未体験のことをするのは誰でも怖いことです。しかし、1度経験してしまえばその経験を自分のものにすることができます。1番怖いのは「失敗すること」ではなく「未経験である」ことなのです。サラリーマンも起業も経験した人がサラリーマンしか経験してない人に劣るはずがありません。この記事を読んだ皆さんが起業に対して正しい考えを持って、正しい「キャリアアップ」をしてくれると嬉しいです。