スマートな人になる方法
今回のテーマは「スマート(賢い)な人」です。
「愚者は経験から学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言があります。この格言はドイツの宰相、ビスマルクが言った格言だそうです。長年、僕はこの格言について疑問を持っていました。「歴史から学ぶ」って言われても、スケールが大きすぎてピンと来ませんよね。鎌倉幕府ができた年号や、大政奉還が行われた年号を知っていて、僕の生活がどのように豊かになるのか?何も変わりませんよね。せいぜい歴史のテストでいい点が取れるくらいです。
なので僕は長年この格言の意味を「先入観を持つな」と言っているのだと思っていました。しかし、この格言の真の意味は違うところにあったのです。僕はとある出来事からこの格言の意味を知ることができたので、その時のエピソードをご紹介したいと思います。この格言のニュアンスを理解できれば、賢者とは言わないまでも、かなりスマートな人間になれると思うので、是非参考にして下さい。
突然降り掛かる厄災
僕が先ほどの格言の意味を理解した出来事は、「マンションの水漏れ」でした。全く歴史と関係なさそうですよね?でも最後には繋がるんです。順を追って説明しましょう。
僕は当時、都内に2DKのマンションを借りていました。結構年期の入ったマンションだったのですが、内装が改装してあって案外綺麗だったのと、都内へのアクセスがしやすかったため、気に入っていました。
ある冬の朝、寝室で寝ていた僕は「ドドドォ・・・」という水音で目覚めました。音はどうやらキッチンの方から聞こえてくるようです。なんだろう?と寝室とキッチンを隔てるドアを開けてみると、目に入ったのは「滝」!!
キッチンの換気扇から滝のように水がザァー!!と流れ落ちてきて、キッチンに湖ができていたのです!!
水漏れの原因は水道管、ちょうど僕の部屋の真上にある水道管が破裂して、溢れ出た水がコンクリートの隙間を伝って、僕の部屋の換気扇に到着していたのです。水の湿気でキッチンの壁紙ははがれ、家具はずぶ濡れ、浸水はキッチンだけでなく寝室にも及ぶ始末です。
結局、朝7時くらいから始まった水漏れは夕方4時まで続き、マンション中の水を全て吐き出すことによって止まりました。僕はその間ずっと水との格闘です。まさか自分の部屋が湖になるなんて、それまでの生活で想像さえもしていませんでした。
翌日の予測なんて絶対ムリ!!
僕は水漏れが起こる前日のことを今でも覚えているのですが、キッチンを見て、「翌朝換気扇が滝になる」なんて夢にも思いませんでした。よく言われる「予兆」も全くなく、まさに寝耳に水、突然災厄が降り掛かったような感じでした。僕が30年近く生きてきた中でも、換気扇が滝になったなんてエピソードは聞いたことがありません。しかし、起こる時には起こるのです。どんなに真面目に生きていても、厄災は容赦なく襲ってきます。まさに運ゲーです。
水との格闘の末に気づいたこと
このエピソードで紹介したかったことは2つ、
1つは「未来は予測できないから出来るだけ備えましょう」ということです。僕は昔、保険に入らない人間でした。なぜなら確率的にはほとんど起こらないんですもん。しかも、自分が注意して生活していたら大抵のトラブルは避けられそうじゃないですか。そんな「万が一」の出来事のために、大金を払う人たちを、当時は保険会社のカモだと思っていました。
しかし、実際に自分の身に厄災が降り掛かってみて、認識が変わりました。大抵のトラブルは自分とは全く関係のないところで生まれるのです。自分に降り掛かるかどうかは運次第です。どんなに注意しても運が悪かったら降り掛かってきます。出来ることは運悪く厄災が降り掛かって来てしまった時に致命傷にならないように備えることだけです。
なお、上で紹介したエピソードには後日談があって、水浸しになった部屋を修繕する必要があり、その請求が僕のところに来たのです。お値段なんと300万円!!払えないw払える訳がないwてゆうか何で僕が払わなければならないんだ??被害者なのに!!最終的にはたまたま家財保険に入っていて修繕費を払うことはなかったのですが、もし保険に入ってなかったらと思うとゾッとします。夜逃げコース確定です。しかも、保険は事後的に入れないのもたちが悪い笑。皆さんも将来に対する備えをしておいて下さいね。
賢者は経験から学ぶ
紹介したかったことの2つ目は「自分の経験だけに頼るのではなく、他人の経験(=歴史)も活用しましょう」ということです。上で紹介した水漏れ、実は家財保険のパンフレットには必ず載っていて、マンションの住民トラブルでは最も件数が多いものとして紹介されています。しかし、そのパンフレットを見て「自分の部屋も危ない」と思う人がどれだけ居るでしょうか?ほとんど居ないと思います。実際僕も自分の部屋が水浸しになるまで水漏れなんて一生縁がないと思っていました。
愚者と賢者の分かれ目、それは他人の経験談(=歴史)を見聞きした時に、「なるほど、自分もそうかもしれない。気をつけよう。」と思えるか、「ふーん。まぁ自分には関係ないな。」と思うかどうかです。賢者は他人の経験を参考にして、同じミスを犯さないよう、先手を打つことができます。一方、愚者は自分が同じミスを犯すまで対策を打つことができません。この「先手を打つことができるかどうか」が仕事でもプライベートでも重要になってくるのです。
賢者になるには
カンタンに賢者になるには?答えは単純です。「他人の経験(=歴史)を活かして将来に備える」のです。仕事や人生が上手く行っている人には「物事を上手く回す秘訣」を聞き、上手く行ってない人には「しくじった原因」を聞きましょう。そして年上の人には「どんな経験をしてきたか」を聞くのです。大抵の人はそんなことを聞いても翌日には忘れていますが、稀にその知識を活かして将来の危険を回避するタイプの人間もいるのです。こういう人たちはなぜか仕事の容量が良かったり、危機回避能力が高いように見えるのですが、実は未来にそなえて先手を打っているだけなのです。
僕は仕事の関係で有名企業の経営者の方と話をさせていただくことが多いのですが、ほとんどの人が言うのは「いろいろな人と話をする」、「将来を予測して対策を立てる、最初は予測の精度が低いかもしれないが段々精度を上げていく」と言うことでした。僕らがいきなり大企業の経営者のような将来予測はさすがに難しいかもしれませんが、人生の先輩から成功談、失敗談などを仕入れて、その情報を元に将来に備えることはできるのではないでしょうか。この「情報を仕入れて、将来予測をたてる」というサイクルを繰り返していくことによって、賢者と言われるくらいスマートなビジネスマンになることができるのだと思います。