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VoIPと移民

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Skype Technologiesが英国・アイルランドに住むポーランド人コミュニティに向け、「SkypeOut」を2日間限定で無料にするという。

12月9日と10日の2日間、英国・アイルランドから「SkypeOut」を使ったポーランドの固定電話への発信は無料となる。

なぜポーランドか。Skypeによると、英国には推定75万人、アイルランドには20万人のポーランド人が移住しているとこのこと。この人々の、祖国に住む家族・親戚や友人とのコミュニケーションのニーズは大きいと踏んでいるようだ。以前IDCのイベントで、2004年のEU拡大後、英国に流れ込んだ移民の数は当初の予想を上回る規模だったと聞いた。おそらく、多くポーランド人は、この際に移住してきた人だと思われる(そういえば、フランスもポーランドからの移民は多いようで、東欧からの移民を形容した“ポーランド人の配管工”という表現が政治的場面で使われたことがある。この時、ポーランド観光局はこれを逆手にとった観光キャンペーンを展開し、余裕の対応を見せた)。

このように、安価な通話を利用するユーザー層として移民は大きな位置を占めるようだ。VoIPサービスJajahの共同設立者も、主なユーザー層として移民、留学生を挙げていた。なるほど、パリ市内の街角で見かける安価な国際電話をかけられる“電話センター”(と勝手に呼んでいる。固定電話が何台も置いてあり、受け付けで指定された電話を利用して通話し、終わったら料金を払う仕組み。コピー機やFaxマシン、インターネットサービスがあることも)の人ごみを見ると、市場はなかなか大きそうだ。私自身も、Skypeで通話するのは日本の両親や友人であることが多い。

Skypeはお互いがオンライン状態でなければならず、ブロードバンドが普及していない場合は難しいが、SkypeOutなら片方がログオンすればよい。通話を発生する時にのみWebを利用するJajahなら、この問題は障害になららない。Skypeとしては、このようなキャンペーンにより、Skypeの登録者を増やすだけでなく、ポーランド人コミュニティ内での人気も高めたいところだろう。

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