オルタナティブ・ブログ > 欧州の視点 >

あまり紹介されることのない欧州系ITニュースが読めるブログ

WikipediaのWales氏とロングテールのAnderson氏

»

IDC恒例の欧州メインイベント「The European IT Forum」が今年も9月にパリで開かれた。

IDCの欧州イベントチームはイタリアにあり、このイベントもイタリアチームが担当する。イタリア語は聞いているだけでハッピーになれる言語。公式語は英語、仏語の同時通訳があり、会場のどこかしこでイタリア語が飛び交うというおもしろいイベントだ。プレスルームのPCも全部イタリア語のWindowsだ。

25092006_007さてこのイベント、昨年のNicholas Negroponte氏(MIT Media Labで100ドルノートPCに取り組む)など、毎年旬なスピーカーを招くので楽しみにしているのだが、今年の目玉スピーカーは『The Long Tail』の著者でWired Magazineの編集長、Chris Anderson氏(写真右)、それにWikipediaの創始者、Jimmy Wales氏。

Anderson氏の『The Long Tail』はつい最近、日本でも翻訳が出版されているし、すでに皆さんご存知だろう。同氏のロングテール論については、7月末に米The Wall Street Journal(WSJ)紙のコラムニストがデータを誇大だとしてオンラインで話題になった。このイベントでもAnderson氏はさまざまなデータを挙げたが、WSJ紙が「古い」として攻撃していたデータ(eCastなど)は一切出てこなかった。

26092006_0252日目に登場したWikipediaのJimmy Wales氏(写真右)。こちらもブリタニカとどちらが優れているかが再度持ち上がっている。

講演でWales氏は、Wikipediaが目指すのは全員の知恵を持ち寄り、誰もが参加し閲覧できる百科事典を作ろうというプロジェクトであるという趣旨について話し、Wikiは管理を共有するまったく新しい仕組みだという点を強調した。有料で完成されたものとして提供するブリタニカとは目指しているものが違うので、品質を比べることは意味をなさないような気がする。

Wales氏は大のAppleファンというが、この日は同社CEOのSteve Jobs氏を思わせる黒のタートルネック姿で登場した。

このEuropean IT ForumはCIOなど経営陣を対象としており、年齢層も高い。毎年、豪華なカンファレンスバックが配られる(例年Intelのロゴが入ったTargusのもの)のだが、今年は紙袋。中には広告やイベントCD-ROMのほか、Anderson氏の『The Long Tail』が入っていた。

Comment(4)