ETRE会場を沸かせたFonのVarsavsky氏
昨年、立ち上がったばかりのときに取材した、無線LAN共有プロジェクトFonのMartin Varsavsky氏が、スペイン・バルセロナで開催されたETREに登場した。
この日は朝一番のスピーチ。スペインは夕食を22時頃に食べる国だ(Varsavsky氏はスペイン人でもある)。「アメリカなら朝は笑顔で起きると聞くが、スペインではそうはいかない」と苦笑い。頭をかきながら登場した。
マイクの前に立ったVarsavsky氏はまず、パワーポイントをクリックしながら、「パワーポイントをはじめて使う」と明かす。VCや企業トップで埋まった会場からは、笑いが起こる。プレゼンするならパワーポイントといわれて作ってみたが、どうもなじめない、、、といいながら、無言で次々にスライドを表示してみせた。そして、「だいたい何を話そうとするかわかったでしょう?」と笑う。結局、スピーチ中、スライドを用いて説明することはほとんどなかった。
プレゼン後に司会のAlex Vieux氏(写真右)の質問を受けたVarsavsky氏(写真左)、2人のやりとりがこれまた実に面白かった。
Fonユーザーが最多のアメリカで、ケーブル企業と提携の話が進んでいることをVarsavsky氏がにおわせると、Vieux氏は「どこ?」と聞く。Varsavsky氏が「いえない」というと、沈黙攻撃。困ったVarsavsky氏は、「アメリカでは商談がすぐに決まるが、弁護士を呼ぶのも早い」。会場からは笑いが。
Fonをはじめたきっかけについて、Varsavsky氏は「WiFiが大好きだから」と一言。「でも、パリに行くと、いつもWiFiアクセスポイントを探してうろうろしなければならない。まるで物乞いだ。しかも、高いお金を払わないといけない。スペインではリッチ(数々の企業を立ち上げたVarsavsky氏、実は富豪)で、自宅で何の問題もなくWiFiを使っているのに」。だから、すでにある無料のアクセスポイントはまったく脅威ではなく、自分たちはWiFi仲間だと感じているのだそうだ。
以前このブログでも書いたが、Varsavsky氏はかっこいい。他の多くのスピーカーがたじろいでいたVieux氏の質問を淡々とかわし、アメリカに対する辛口のコメント(本人はアメリカが好きなんだと思うが)をさらりと言う。実にスマートな人だと思う。
会場では、Fon専用無線LANルーターのLa Fonera(右)を配布していたが、気が付いたときには完売でもらえなかった。残念。
ところで、Varsavsky氏はこの日、世界の国別のFonera数を見せたが、日本はトップ10に入っていなかった。日本には向かないのだろうか?