バルセロナがこわい理由
土曜の朝、パリは快晴であるーーとうとうこの日が来てしまった。今夜、スペイン・バルセロナに出発するのだ。
欧州ビジネス界の冬の風物詩といえば、“3GSM”こと3GSM World Congress。モバイル最大のイベントといわれており、通信業界が重要な産業である欧州では特に注目されているイベントだ。毎年2月に南仏カンヌで開かれることから、欧州のIT・テレコム専門誌は3GSMのことを“カンヌ”と呼ぶことも多い。私も毎年、自宅のあるパリからTGVで行けるということもあり、楽しみにしていたイベントだ。
だが、今年は違う。開催地がスペイン・バルセロナに移るのだ。理由は、キャパシティの問題。毎年3GSMの会期中、カンヌのホテルは満杯となり、しかも街中のホテルが一斉に値段を吊り上げるうえ、キャンセルポリシーまで変える。3GSMに出席するテレコム業界の人々もカンヌが好きだったと思うのだが、GSMが普及し、“モバイル”の範囲が広がったことから、イベントそのものの規模が大きくなってしまった。というわけで、キャパシティの大きいバルセロナに移動しようということらしい。それにしても、なんでスペインなんだろう?
思えば昨年2月、カンヌで3GSMの会長が「来年はバルセロナで」と発表したとき、私は大きな大きな、大きなショックを受けた。スペイン料理も好きだし、フラメンコを習ってみたいと思ったこともあるし、スペイン人も大好きなのだが、昔欧州大陸を旅行した時に、スペインで襲われたから(後ろからやってきた2人組に頚動脈を押さえられ、気を失ったのです。そのすきに現金(といっても2000円程度)を盗られました)。
それ以来、(あまり怖がりではないと自負しているが)スペインだけは機会があっても行かなかった。というか、行きたくても行けない国になってしまった。私が襲われたのはマドリッドだったが、バルセロナに行ったことがあるという人の多くがスリが多かったといっていた(その中には、実際にスリにあったという人もたくさんいる)。・・・・カンヌ映画祭の舞台でも知られるPalais des Festivalset des Congresの壇上で、誇らしそうに「バルセロナ」と発表する3GSMのコンウェイ氏(だったと思う)を見ながら、「行かない」とほぼ決めた。
だが、結局行くことにした。昨年秋に行くと決めて以来、頭のどこかで大丈夫かなー、と気になっていて、スペイン人はもちろん、バルセロナに行ったことがある・知っていると聞けば、「どうだった?」と聞きまくった。たとえば、広報の冒険の大橋さんのブログで紹介されたNabilaさんとか、昨年末のBlogイベントで会ったFONのMartinさんとか、先々週のObjectWeb ConのJordiさんとか。皆さんには、「それが理由で、あんな美しい街を見ないのは損だよー」と言われましたが。
今週になると、夢の中でも安全対策を考えていたことがあった。なにせ、PC、カメラ、テレコを持ち歩かなければならないのだ。大丈夫かなー。
というわけで、今夜バルセロナに向かいます。バルセロナの空港が危ないと聞いたので、夜行電車にしてみたのですが、フランスで年始、電車で集団暴行・略奪事件があり、「ああー、しまったー」と後悔(すでに電車の切符を購入済みだったのです)。なんかいやな予感がするのですが、予感で終わりますように。
*写真は、昨年の3GSMで撮ったもの。上はPalais des Festivalset des Congres。カンヌ映画祭のときは、赤いカーペットが敷かれます。