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06122005_012_s_1しつこいようですが、「Les Blogs 2.0」のお話をーー。重要なセッションについては書いたので、もういいかなとも思うのですが、今回のテーマはもっとも重要なことかもしれないので、2005年が終わる前に書いておきます。

Les Blogs 2.0の2日目、最初にスピーチをしたのは、米Six ApartのMena Trott氏。ご存知、Ben Trott氏と夫婦でSix Apartを立ち上げた共同設立者である。Trott氏はスピーチ中、これまでブログが収めた成功を確認しながら、「もっとブロガーを増やさなければならない」と述べた。また、「ブログは個人の声」と言うTrott氏、声を出すとたたかれることもあり、自身がブログを続けていくにあたって何度も批判されたことに触れた。「だいぶ慣れてきたけど」と苦笑。

06122005_014_sTrott氏は、「敢えて(反対意見を承知で)この場で考えてほしい」として、「丁寧な言葉使い」という倫理的なテーマを挙げた。このイベントでは、バックチャネルとして、イベント参加者や参加できない人がチャットで会話をしていたのだが、その発言に礼儀を欠いた(度を越えた)内容のものが多いというのが彼女の意見だった。バックチャネルは常時、ステージの画面に表示されていたのだが、Trott氏がそんな話をしていたちょうどそのとき、「くだらない(This is bullshit)」という発言が出た。ハンドルネームは“dotben”という人物。それを見たTrott氏は、「“dotben”ってだれ? どこにいるの?」と指名する。おずおずと立ち上がったdotbenさんに向かい、Trott氏は、昨日からひどい書き込みばかり書いているとして「You have been an asshole」と発言したーーAssholeを辞書で引くとお分かりの通り、これも「丁寧」とはかけ離れた言葉である。

この“事件”に関しては、いろんな人がブログしている。Technoratiなどで検索すると、さまざまな見解が読めておもしろいかもしれない。私の周りの席からは、Trott氏の意見は的外れではないのだが、感情的になりすぎたという意見があった。たしかに、dotbenさんに対して起立を求めたTrott氏と、立ち上がったdotbenさんは、学校の先生と生徒のような感じで、優等生的な発言を行った彼女に対し、なんのためのブログなのか?と言う人もいた。フランス人の中には、英語圏とフランス語圏のブログにおける文化の違い(冗談ですむ範囲が違うこと、ユーモアの感覚が違うこと)を指摘する人もいた(ちなみに、dotbenさんは(米国ではなく)英国の人です)。

Trott氏はオンラインパーソナリティという言葉に言及、ブロガーに対し、匿名性がネット上の倫理に与える影響についてもっと注意を払うよう呼びかけた。これは、ブログに限らず以前から言われていることだが、丁寧の尺度が人によって異なるのも事実。dotbenさんがTrott氏のスピーチを面白くないと思って「bullshit」と言ったとき、Trott氏とdotbenさんとの間で、bullshitという言葉をどのようなときに使うのかと倫理観が違ったといえばそれまでかもしれない。だが、インターネットという場所を皆にとって住みよいものにするためには、それで終わってしまってはいけない気がする。おもしろくないと思うのは個人の自由だが、それをどう表現するか、不必要に人を傷つける必要はないと思う。

ただ、スピーカーであるTrott氏はそれを論理的に説明する前に、感情的になってしまった。このようなTrott氏に批判の声もあったようだが、私は人間らしい一面が見れて親近感が増した。スピーカーとしてよかったかどうかは別だけど。

大切なことは、問題をやり過ごさすにディスカッションを行うこと。言語、宗教、民族が異なる人が共存するインターネットで倫理を論じるのは簡単なテーマではないが、声を上げたTrott氏は間違っていないと思う。この事件に関する当の本人による後日談は、Trott氏のものはここ、DotbenことBen Metcalfe氏のものはここに。

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