さようなら、フランステレコム
以前、電話が不通になった一件を書いたが、ここではその後の経過を。
あの後、フランステレコム解約を心に決めたものの、やはり面倒くさいなーという気持ちもあり、(あんなに意気込んでいた割には)実はすぐには解約しなかった。
だが、あれから数週間後、私の決心を固くする出来事が。ある日フランステレコムから届いた手紙から始まる。封筒の大きさからして領収書ではないと分かったので、きっと電話が不通になった件を謝罪するお詫びの手紙かな、と思い封を開ける。すると、「わが社の新しいサービスに契約いただきありがとうございます。確認書を遅らせていただくこと、光栄に思います……」という文面。2枚目には、細かい字で書かれた約款のようなものがある。「え?」よくよく読んでみると、私はその少し前に、フランステレコムの通話料金割引プランに加入したらしいのだ。あわてて問い合わせ番号に電話をする。
出てきた女性は、「確かに契約の申し出をもらっている」という。そこで、私は「電話が不通になって困った後に、こんな行き違いは困る」と述べ、上の人と話がしたいと言った。待つこと数分。出てきた女性は明らかに不機嫌。そして、「確かに7月○日に、このサービスに入りたいという電話をもらった」と言い張る。私はその日家にいなかった。「何時に電話があったのか?」と聞くと「正午」という。「まず御社に電話していないし、この日は朝から夕方まで留守だった」というと、「誰か他の人が電話したんじゃないか?」という。「一人暮らしだ」といい、「そちらの記録を見せてくれ」というと、話をすりかえ(この国の人がよく使うパターンだ)「停止したいのなら、その旨手紙を書くように」といって電話は切れた。
手紙を書いても処理されない可能性があるので、近くにあるフランステレコムの窓口に出かけることに。担当の女性はコンピュータの画面で確認しながら、再度、「私が電話をしてこのサービスに入ったことになっている」と言う。そんな覚えはないといっても、誰がその入力をしたのかなど、確認できないのだという。仕方がないので、停止を申し出る。その場で処理してくれたが、今月分のサービス利用料金は徴収されるのだという。「そちらの手違いで加入させられたのに、支払わなければならないのか?」ときくと、この女性は「どうしようもない」と肩をすくめる。
おそらく、しつこく問い合わせれば支払わなくていいようにしてくれるだろう。でもそのための労力と時間を考えると、価値がない気がしてやめた。ちなみに、この割引サービスとは、月に1~2ユーロを支払うと、割引通話料金が適用されるというものだった。
さて、基本契約の解約だが、ISPに問い合わせると、同じ電話番号を維持しつつISPのADSL電話サービスに切り替えるには、フランステレコムに解約を届けるのではなく、ISPに申請、ISPがフランステレコムとやりとりすることになるという。そこで、そのための申請書を同社のWebサイトよりプリントアウトし、その日のうちに郵送する。
2週間もしないうちに、ISPよりメールが届く。無事移管作業が終了したとのこと。以来、フランステレコムとは晴れて縁がなくなった。
このIP電話サービスだが、やはり音声の質がよくない。私には分からないが、通話相手によくそう言われる。同じ電話でも、Skypeの方が良いといわれることもしばしば。しかも、日本にかけるとかからないこともある。でも、コミュニケーションが固定電話に依存する割合は以前と比べて低くなったし、フランステレコムでは4日間不通になったことを考えると、ISPの電話でまずは満足なのである。
ところで、このようなフランステレコムとのやり取りは、日本ではあまり想像できないと思う。でも、この国の人にこの話をすると、みんなに「そんなもんだよー」といわれた。それならまだしも、「私なんかねー」と自分のトラブルを自慢する人もいたぐらいだ。日本流の顧客主義を伝授するビジネスをこの国でやると儲かるかもしれない、と思ったりするこの頃。
*写真は、市内のあちこちにあるフランステレコムの営業所。