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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

「500個の風鈴の音を聴く」実験

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 もうかなり前だがダンス愛好家コミュニティの友人が面白いネットのコラムを教えてくれた。「駒沢敏器氏の『生命の音』」というもので、Hotwiredに連載されていた。どの回も感慨深いものだったが「屋久島で500個の風鈴を聞く」もそのひとつだった。

 屋久島で500個もの風鈴を一つひとつ枝にくくりつけ音色を聞いた時の話である。自然の中でゆらぎながら鳴り響く大量の風鈴の音は聞いている者に恍惚(こうこつ)感さえ与えるほどだった。後に音楽家の岡野弘幹氏により各地で約1000個の風鈴によるインスタレーションが行われ、「MUSIC OF WIND/風鈴」というCDも発売された。

 友人はぜひその音色を自分の耳で聞いてみたいとかねがね願っていた。しかしなかなか機会に恵まれることなく、ついに自分で実行することを決意した。昨年、いつものダンスカンパニーの公演にてばったり友人に会うと、mixiにて「500個の風鈴の音を聴く」コミュニティを立ち上げたという。一足遅れて私もそれに参加することにした。

 昨日7月2日、実験としてまずは50個の風鈴を本番に選んだ場所で鳴らすことにした。樹木を痛めないように保護用テープを巻いてからロープを結び、そこに風鈴をつるす。

木にロープを渡し、そこにつるした風鈴  風鈴は鉄製で緑かかっていてヒモも明るいグリーンで、周囲の木に見事に溶け込んでいた。さらに短冊はOHPシートにしたため、光を反射したり背景を透過した(薄暗い木の下から木に同化した風鈴を見上げるためか、撮影はすごく難しかった)。

 雨天なら延期する予定だったが、幸いなことに朝には前日からの雨は止んでくれた。だが肝心の風はほとんど流れることなく、風鈴はしばらく「気をつけ」しているようにも見えた。夕方になりようやく風がそよそよと流れ、風鈴の音を確認できた。実験なので聴衆はわずかだったが、散歩の通行人もしばし音色に聞きほれた。また風鈴が寺の鐘の音とマッチしているところも絶妙だった。

 今回の企画は風鈴の音を聴くという実にアナログな企画がデジタルなネットにて復興することや、ネットコミュニティとお寺のコラボレーションという点で興味深い。今回の実験をもとにさらに詳細な作業手順を中心メンバーがつめていくことになる。私も本番前には準備作業を手伝うつもりだ。本番が楽しみである。

■「500個の風鈴の音を聴く」イベント
日時:8月29日(月)~9月4日(日)
場所:池上本門寺 仁王門~五重塔の参道
入場料:無料

※詳細が増えれば追って紹介する

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