【オルタナ講演資料】TVCMからWEBCMの時代へ(前編) 1980年代~現在のCMまで
9/10(金)にITmediaオルタナティブブロガー定例会で発表した講演資料を公開します。
(CMをキャプチャした画像を外してます。リンク先もいつか削除される可能性が
ありますのでご了承ください。)
いずれブラッシュアップしたいと思いますが、ひとまず以下にテキストでも少し書き残して
おきたいと思います。まずは前編。「昔のテレビCM 1980年代~現在まで」をご紹介。
■今回の講演のテーマは 「TVCMからWEBCMの時代へ」
大学2年の頃、元電通の教授の授業を受け、その後「宣伝会議」のコピーライター養成講座
に通っていたこともあり、「面白いTVCM」というものをたくさん見る機会に恵まれました。
しかし、ここ最近のCMはつまらない。そこで、昔の良かったCMを振り返りつつ、WEB広告で
そのTVCMくらい(もしくはそれ以上)の面白い取り組みが出来るようになるのではないか、
という思いから、今回の講演資料を作り始めました。
また、オルタナブロガー定例会は講演が終わったあとそのまま飲み会なので、昔のCMを見
て頂くことで話の肴にでもなればいいなと。
(「1980年代はそんなに昔じゃない」と言われてしまいましたが(笑))
■昔のテレビCM 1980年代~
私が生まれたのは1983年。その年にはこんな出来事がありました。
- インターネットが誕生する
( ARPANET(インターネットの前身)がそれまで利用していたプロトコルNCPからTCP/IPに切り替える)- 東京ディズニーランド開園
- ファミリーコンピュータが発売
(TVが浸透してきているからこそTVでゲームする文化が生まれるわけですね)- NHK朝の連続テレビ小説「おしん」が最高視聴率62.9%を更新し連続ドラマ視聴率の日本記録をマークする
(2010年6月のワールドカップ「日本vsパラグアイ戦」は最高57.3% )- 「キン肉マン」が日本テレビ系列でアニメ化放送される。キン肉マンのキャラクター人形キン消しブームが起こる
- 「美味しんぼ」がビッグコミックスピリッツに連載開始
(この頃から山岡という名前がメジャーに!主人公が山岡というのはこの漫画くらいしか知りません)
1980年代というのはいわゆるバブルですね。下記のグラフは「日本の媒体別広告費および
シェアの推移」(SurveyML Reference Roomさんのブログから引用)に注釈をいれたもの
です。1991年までテレビ広告費は右肩上がり。2000年がピークだったことが分かります。
そして、年代別にCMをピックアップしてみたのが下記リストです。
(YouTubeのリンクが切れたらすみません)
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【バブル】
・レナウンCM 80年代①
http://www.youtube.com/watch?v=-GuIXETf-JM
先日、博報堂の須田和博さんにお話を伺う機会があり、「なんで最近のCMはつまらないんで
すかね」と聞いてみたところ、昔のCMは、例えば「日曜洋画劇場」は海外の映画が見れると
ても貴重な存在で、それが流れている途中に、下手なCMは差し込めない。クライアントも代
理店も総力をかけてその映画のクオリティに合うようなCMを作り、ブランディングすることに
精力を注いでいたという話がありました。仰っていた年代とは違うかも知れませんが、このレ
ナウンのCMも恐らく日曜洋画劇場の合間に流れていたCMだと思います。
・ちょっとだけノスタルジックCM集(80年代後半~90年代)
http://www.youtube.com/watch?v=z9c7vWZLWwA
なんか、やたら外人を使ったり、海外ロケをする(したい)CMが多いのが特徴です。
・SONY WALKMAN (1987)
http://www.youtube.com/watch?v=V4IuLJFEzxY
このCMは有名ですね。この頃から高音質へのこだわり。猿に音楽を聞かせる、
というのは「進化」を表すクリエイティブでしょうか。上手いですよね。
・JR東海 X'mas Express 歴代CM 1988年~
http://www.youtube.com/watch?v=ZGu7SGxNWyo
1988年がバブル絶頂期です。JR東海は、このシリーズが終わった後に
「そうだ、京都行こう」のキャンペーンを始め、今なお継続しています。
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【バブル崩壊、失われた10年…】
・武富士CM (1991~2001)
http://www.youtube.com/watch?v=97GA3LItR7I
ここで武富士が登場。失われた10年間とちょうど期間が被るという不思議。
・KDDI - au 浅野忠信 「愛が全てじゃないでしょ」篇 (1999?)
http://www.youtube.com/watch?v=M9GXhHCFPZ0&feature=related
この頃のKDDIのCMが一番好きです。挑戦心に溢れていました。
・ホットペッパーCM (2001~)
http://www.youtube.com/watch?v=YooyGOZUFRY
このCMも強く印象に残っています。このCMのクリエイターの山崎さんには、
宣伝会議の講座で1度だけお会いしました。声は全て彼がアフレコをし、CM
1つ作るために100回くらい案を考えてスタジオにこもりっきりになるそうです。
修行のようなCMの作り方でした。ちなみに、この映像は海外の映画などではなく、
このCMのためだけに作られたものです。
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【テレビ広告費の減少】
と、ここまでがTVCMが面白かった時代かなと個人的には感じています。
2000年にテレビ広告費のピークを迎え、それ以降は横ばい。
消費者の嗜好の多様化、PCや携帯の普及などに伴いネット広告費が上昇する一方で、
テレビ広告費は2008年に一気に下降していきます。
「テレビ視聴者の減少」⇒「みんなのTVではなくなる(お茶の間の消滅)」
そして、TVでも「ターゲットを絞った広告」が増えていきます。
その代表として、上記で挙げたSONYやKDDIのCMは、いまどうなっているのか。
・SONY WALKMAN TVCF 02 「合唱」篇 (2009)
http://www.youtube.com/watch?v=V7Kmg3gNNi0
・KDDI 「LISMO Fes!」篇 川口春奈 (2010)
http://www.youtube.com/watch?v=P32xDXlGdes
見ていただけると分かると思うのですが、どちらも「若者」にターゲットを絞っています。
音楽プレイヤーや携帯を持ち始める年代に絞ってアプローチした方が効率的だと判断
されているのかもしれません。
また、KDDIのCMに関しては、「この先にコンテンツがある」ということを伝えることを
重視しているようで、WEBサイトもCMと連動したものになっています。こうしたネットや
携帯コンテンツとのクロスメディアアプローチは、この数年で劇的に変化した部分ですね。
一方、TV広告費の減少を防ぐためか、パチンコのCMなども最近とても増えています。
最初に紹介した「日曜洋画劇場に相応しいCMを作るんだ!」といった雰囲気はどこにも
ありません。
「テレビでCMが流れる企業や商品は、国がお墨付きを与えたかのごとく、公益性や信頼性があるものとされてきました。だからこそ、企業は高い金を払った。しかし、それも昔のこと。その流れをさらに加速させたのが、パチンコ機のCM解禁だと思います。」
広告プロデューサー 吉良俊彦氏のコメント
「パチンコ解禁は断末魔? 信頼も文化も失ったCMの未来(前編)」より
以上、ここまでが前編です。
後編は「ソーシャルメディア時代の動画広告」についてご紹介します。
ご意見、ご感想は @dyamaoka まで。