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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

ソーシャルリーディングってどう考えたらいいのだろうか?読書体験の共有って言うけどよく分からないねえ。

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上の画像はCOPIAにログインした状態

電子書籍の広まり(日本じゃ全然広まっていないけど)とともにソーシャルリーディングって言うことが言われるようになってきた。具体的に何を指す言葉なのか曖昧だが、電子書籍先進国であるアメリカのサービスでCOPIAというのがある。電子書籍をベースにしたSNSと言っていいだろうか。早速登録してみたが、まだよく分からない。Dan BrownのThe Lost Symbolを試しに登録してみたが、誰とどのように繋がっているのか不明だ。サービスについてCOPIAは、With social features built in, eBooks become weBook.と言っている。要するにEbookをベースにして議論したり、推薦したり、仲間になりましょうってことらしい。

日本では既存の読書SNSとして、ブクログ読書メーターなどがある。どちらもWeb上に自分の書棚を公開して同じ興味を持つメンバー同士でコミュニティを作ろうってものだ。これらのサービスは電子書籍とは直接関係なく読むのは紙でも電子でも関係なく、読書の体験を共有することを核にしたSNSだ。

アメリカには昔からBook ClubまたはBook Discussion Clubという組織があり、そこを通じて読書に触れるという習慣がある。定期的に集まって自分の読んだ本や読もうと思っている本について発表したり議論したりするものらしい。Discussionを議論と訳すと固いが、お話しましょうってことだろう。中にはいわゆる輪読と言った形式もあるのだろう。広義のBook Clubにはこういった活動を通して本を販売することを目的とした組織もある。なんでもありのClubもあれば、カテゴリを限って、ミステリやハーレクインなど共通の興味にしたがったClubがたくさんある。こういった文化の背景があるのでSocial Readingといっても合点がいくのだろう。

こうしたClubがメディア化して、ラジオやテレビの番組になったりもしている。インターネット時代に入ると、独立系のサイトがたくさんできたりしているが、やはり一番多くの人が集まるのはFacebookのコミュニティだろう。日本にもBook Club的なものはあるのだろうが、活発なものは少ないようだ。Mixiの中にも読書系のコミュニティがたくさんあると思う。また、こうした固定的な会員同士のコミュニティとは別にTwitterなどの柔らかい流動的なハッシュタグで繋がったコミュニティもある。

ということでソーシャルリーディングとは何も電子書籍の専売特許ではなく、読書体験をベースにして繋がりましょうということだろう。もちろん電子書籍になればよりダイナミックにコンテンツとコミュニケーションが一体となった体験を実現できる。ここが電子書籍の発展とともにソーシャルリーディングについて活発に語られるようになった原因だろう。

私の専門であるDRMの立場から言うとコンテンツのどこまでをどのように引用していいものかなど課題があるのだが、それは小さな話でいかようにも解決がつくことだろうと思っている。

KindleにはPopular Highlightといってユーザーが引いたアンダーラインを共有できる仕組みがある。残念ながら自分はKindleでそんなに読んでいないことと、読む本が偏っているので、他人が引いたアンダーラインに出会ったことがまだ無い。

読書ではないが、日本にはニコニコ動画というソーシャルウオッチングの優れた仕組みがある。動画を共有しながらコメントを共有することができる。あまり創造的で意義のあるコメントというのを見たことがないが、くだらないコメントであっても動画をベースにした体験の共有と言えるだろう。

電子書籍がSNS的なものと連動していく仕組みは今後どんどん開発されてくるだろう。これに紙媒体の書籍も統合されて面白いサービスが出てくることを期待する。

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