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人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

人事の未来を形作る4つの機会をつかむ

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
今回は手短に。アメリカの民間経済調査機関、コンファレンスボード(全米産業審議会)とマッキンゼーによる、未来の人事に関する共同研究が発表されていますのでご紹介します。記事はTLNTより。

The Four Opportunities HR Must Seize Today to Succeed Tomorrow
明日の成功のために人事が今日つかんでおくべき4つの機会


4つの機会とは?


  1. Look ahead: anticipate and plan for the human capital of tomorrow
    先を見すえる: 明日の人材について予測し計画する


    From the increased presence of the highly connected Millennial generation to the proliferation of the virtual office, tomorrow's workplace will look very different from today's.

    密につながったミレニアム世代の台頭やバーチャルオフィスの急増に至るまで、今後の職場は現在のものと比べて大きく異なるものになる。

  2. Secure a steady, reliable pipeline for today's skilled workers, and tomorrow's leaders
    今必要なスキルを持つ人材と将来のリーダーを獲得するための、確固とした信頼できるパイプライン(供給経路)を確保する


    The war for talent continues, spurred by relatively high growth in emerging markets and the mismatch between worker skills and jobs in most regions of the world.

    新興市場における相対的に大きな成長と世界の大部分で発生している労働者のスキルと仕事とのミスマッチが、タレント人材の獲得競争の継続に拍車をかけている。

  3. Develop strategies to reenergize your employees about what they do, and about what the organization stands for
    社員が何を行い、そして組織が何に依って立っているのかを明らかにした、社員を再び活性化させるための戦略を開発する


    An engaged workforce can drive financial performance. Studies have shown that employees who are truly engaged are more likely to stay and contribute to the organization.

    エンゲージメントのある人材は財務的な業績を推進する。ある研究によると、本当にエンゲージメントのある社員はより会社に留まり組織に貢献する傾向にあることが分かっている。

  4. Ensure that the HR/HC function becomes more agile than the organization as a whole
    人事機能が組織全体よりもより迅速に動けるよう整備する


    Organizational agility is an essential response to the volatility of today's business environment. An MIT study shows that agile organizations grow revenue 37 percent faster and generate 30 percent higher profits than non-agile organizations.

    今日のビジネス環境の流動性に対抗するには組織の迅速性は不可欠のものである。MITによる研究によると、迅速性のある組織は無い組織に比べて、収益を37%早く上げることが出来、30%高い利益を上げられることが分かっている。

では具体的にどうすればよいか?ということは、実際にレポートを読んでみる必要がありそうです(有料)。こちらのリンクより


なぜうまく対応できないか?


しかし、人事はなかなか上記の機会を活かすことが出来ないでいることが多いようです。その主な理由は次の3つによるものだそう。

  • A lack of capability
    能力不足


    Human capital professionals are still unable to confidently and assertively solve business issues with line leaders and define the subsequent HC (human capital) implications.

    人事のプロフェッショナルは依然として自信を持ってしっかりとライン側の管理職と共同で仕事上のイシューを解決することが出来ておらず、そこから抽出される人事上の示唆を定義することが出来ていない。

  • A support function mindset
    支援機能としてのマインドセット


    Human capital staff continues to have a support-function mindset, a low tolerance for risk, and a limited sense of strategic 'authorship.' These attributes often result in relatively low status among executive peers, no budget for innovation, and a 'zero defects' mentality that means they rarely takes chances.

    人事スタッフは支援機能としてのマインドセットやリスクに対する許容度の低さ、戦略的な「主体性」に対する低いセンスを持ち続けている。これらが結局のところ、経営幹部内での相対的な地位の低さやイノベーションに対するゼロ予算、チャンスをめったにつかもうとしないことを意味するような「不良品撲滅」的メンタリティーにつながってしまっている。

  • An inability to relate the ROI or business impact of their function
    人事機能に関する投資対効果やビジネスインパクトとの整合性不能


    The difficulty many human capital professionals experience in talking the business language of ROI prevents them from gaining buy-in for innovation, no matter how much it is needed.

    どれだけ必要なことであっても革新的な施策に取り組むことが出来ないほどに、多くの人事プロフェッショナルは投資対効果に関連したビジネス用語を駆使するのに困難を感じている。

なかなか厳しい言葉が並んでいますが、現実的な話としてまず始めるべきは、自社の製品やサービスに関心を持って、その動向を追っていくことかもしれません。自社の社員が一番自社の商品を知らない、というケースもよく耳にします。まずは人事の要素だけでなく自社のビジネス自体に興味・関心を持ってウォッチすることから始めることで、いずれビジネス環境を見据えた人材マネジメント上の課題が浮かび上がってくるのだと思われます。

お読みいただきありがとうございます。

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直近で取り上げた3つの事例は、特にベンチャーなどの成長企業にとって参考になるものとなっています。それぞれ導入の背景は異なりますが、更なる大きな成長を志向する組織の方々に、とりわけお読みいただければ幸いです。




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