不況が変えたゆとり世代の仕事観
»
クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
アメリカの若い世代がここ数年の不況を経て、どのような仕事観を持つようになったか。
日本のゆとり世代が一般的に言われている傾向とも重なる部分があるように思われます。
13 Ways The Recession Has Completely Changed How Young People View Work
不況が完全に変えてしまった若い人々の13の仕事観
Entering the workforce during a down economy creates attitudes that could last up to 20 years, according to a recent study led by Yale economics professor Lisa Kahn.
イェール大学の経済学の教授、Lisa Kahn氏の最新の調査によると、景気の下降時に仕事の世界に入ってきた人々の態度は、おそらくこれから20年ほどは変わることはない。
ではその態度・仕事観はどのようなものなのか、簡単に訳出していきます。原文は写真つきでイメージが湧きやすいかと思います。是非原文もあわせてご覧下さい。
They're more risk averse
かなりリスクを回避する傾向に
Because they have a limited history, they are much more likely to change their behavior due to a single year's performance in the markets than an older person, who might have several decades of experience.
限られた歴史しか知らないため、何年もの経験を積んだ年配の人に比べて単年の市場のパフォーマンスを元に行動を変える傾向がある。
またその歴史の中でそれほど好景気を経験したことがないため、1950年~60年代を知っている人々に比べて楽観的になりにくい、と。
Because of this, they won't invest as much -- into the stock market, or any one job
そのために、それほど投資をしない ― そしてその対象は株式市場だけでなく、単一の仕事についても
young people are less likely to feel a sense a loyalty to any one employer
若い人々はどのような企業に対しても忠誠心を持ちにくい傾向に
市場での傾向が仕事にも波及しているようです。悪循環を避けるために、単一の商品に固執して投資はしない。
They question traditional hierarchies
伝統的な階層に疑問を抱く
Younger workers are more willing to challenge managers and traditional hierarchies, so communicating on a more casual tone between equal ranks will make the meeting run smoother.
若い社員はマネージャーや伝統的な階層についてより異議を申し立てようとする傾向にある。したがって、打ち合わせをスムーズに進めるためには、同じランクにいるかのようにカジュアルなトーンで進めていくことが望ましい。
なんとめんどくさいことを、と思われる方も多いでしょうね(苦笑)。
They believe luck plays a big role in success
成功する上での運の役割が非常に大きいと確信している
People who started working during the Recession "tend to believe that success in life depends more on luck than on effort, support more government redistribution, but are less confident in public institutions"
不況の時期に働き始めた人は"人生における成功は努力よりも運によるところが大きいと信じる傾向にあり、政府による再分配を支持する一方、政府系機関に信頼をそれほど置かない。"
これはUCLAでの研究結果のようです。
They're more willing to settle
より今の場所に留まりたいと思う
Those who graduate during a recession are more likely to compromise and start at lower-paying, lower-level positions -- sometimes completely unrelated to their original career plans.
不況期に卒業した彼らは、より妥協する傾向から低賃金かつ低いポジションの仕事から始める傾向がある―そしてそれらの仕事はしばしば完全にもともとのキャリアプランと関係ないものだったりする。
これに対してKahn氏は「現状をそのまま受け入れるな(not to accept the status quo)とアドバイスをするそうです。今は完全にポテンシャルを活かしている状態ではない(Be mindful that you might not be reaching your full potential right now)、と。
これは特に大手企業が新卒主義をとる傾向にある日本のほうに、より当てはまるかもしれませんね。諦めモード。
They're less likely to put themselves back on the job market
労働市場に入ってこようとしない
When you are young, you are supposed to change jobs more often. You need to find the right fit for you, and that's often how people increase their salaries. But she says this isn't happening as much with Gen Y.
若いときには仕事をよく替えるべきだ。自分にとって合った仕事を見つける必要があり、またそれによって人々は給料を上げていく。ただこの傾向がY世代ではそれほど見られないとKahn氏は語る。
労働市場の成熟度が高いアメリカでは転職が容易ではありますが、その中でも若い世代の流動性は低くなってきているようです。
They're sheltered and would like to stay that way
安全に守られており、その中にいたいと思っている
Gen Y has grown up privileged -- more than any generation before it. Young people were told they could be whoever they wanted, wherever they wanted.
Y世代は以前のどの世代と比べてもはるかに恵まれた育ち方をした。若い人々は、何にでもなりたいものになれるし、行きたいとこへはどこでも行けると言われてそだった。
But being sheltered and managed closely by their parents, this generation has "no interest in exploding the system, preferring to simply prosper within a world order
しかしそのように保護され、両親のすぐ傍で過ごしてきたせいで、この世代は"現状のシステムを拡げることに興味を持たず、自分自身の狭い世界秩序の中でシンプルに生き延びることをより好むようになった"
内向き志向、ですね。
They want answers immediately
すぐに答えを求める
the one thing that Gen Y can't tolerate is uncertainty. The savvy-tech generation expects immediate answers and instant access. "Ambiguity drives them crazy. They want an answer."
Y世代が耐えられないことの一つは不確実なこと。テクノロジーに精通した世代は即決の回答と即時アクセスを期待する。「あいまいさは彼らを狂わせる。答えが欲しいのだ」
別の観点として、こういった部分については要求レベルが高いと。WIFI環境があることに幸福感を感じる、といったところでしょうか。
Reliance on technology also makes this generation more socially awkward
テクノロジーへの信頼がこの世代の社会性を萎縮させる
Gen Y doesn't know how to dress or act appropriately in professional settings
Y世代はプロフェッショナリズムが要求される場面において、どのように装うべきか、どのように振舞うことが適切かわからないのだ。
携帯も通話よりテキストメッセージでのやり取りが主であり、面接などでも普通の会話が出来ない、との話が上がってきているようです。
They don't want to report to anyone
誰にも報告を上げたくない
Gen Y workers see no value in reporting to someone who simply keeps track of what they do, when much of that can be done by themselves, their peers, or a machine. What they do value is mentoring and coaching from someone they respect. Someone, in other words, who is a master -- not a general manager.
Y世代の従業員は、そのタスクが自分や仲間の力、あるいは機械を使用することで完遂できる場合には、何をやっているかを把握するためだけに報告を上げることに全く価値を置いていない。彼らが価値を置くのはメンタリングやコーチングであり、その相手は彼らが尊敬する相手に限られる。言い換えれば達人(master)にふさわしい人を求めているのであり、いわゆる一般的なマネージャーではない。
極限のフラット化ですな。
They're more modest and realistic
控えめで現実的
entering a workforce during a recession inevitably makes people "more modest and more realistic."
不況期に仕事を始めた人は間違いなく"より控えめで現実的に"なる
この言葉は日本でも著作が翻訳されている、UPennのピーター・カペリ教授より。
They work well in teams and hate conflict
チームワークで力を発揮し、争いを憎む
Gen Y hates conflict -- which is no surprise [because] they've been learning negotiation skills since they were kids,
They also believe that teamwork is more efficient than self-reliance: "This is not a generation of mavericks."
Y世代は争いを憎む―これは小さい頃から交渉スキルを学んできたことを考えると驚くには当たらない。
また彼らはチームワークが自己依存よりも効率的であることを信じている: "この世代は異端の世代ではない"
特に同世代との仲間内のチームワークは強いと思います。ここに世代の離れた人が入るとうまくいかなくなるケースが多そう。
And like the generations before them, they still value hard work
そして彼らより前の世代と同様に、今もハードワークに価値を置いている
Young people have simply never known what proper job security is. We are so acutely aware of how difficult it is to find a job that when we eventually get one, we work incredibly hard to protect it and remain wary of how fleeting it may be. We entered the workforce when a job was a rare privilege. Some of us work with the fear of being fired and accept that as legitimate because, well, that's just the way things are these days. If you're not the best at your job then employers are entitled to get someone who is.
若い人々は単に適切なレベルの仕事の安定(job security)を知らないだけなのだ。仕事を見つけることがどれくらい難しいかについてとても鋭敏に認識しているが故に、最終的に職にありつくことが出来ると途方も無くハードに働くことでその仕事を守ろうとし、でも一方でその仕事がどれだけ不安定なものかを認識して注意を怠らないようにしている。職が非常に希少な特権であった時代に仕事人生に入ったのだ。我々のうちの何人かは解雇される不安を抱えながら働いており、それは筋の通った方法だと考えている、なぜなら、それが現在の仕事のありようだから。もしあなたが今の仕事で最も有能でないとしたら、企業は有能な人を外から連れてくる十分な資格がある。
Sydney Morning HeraldのRachel Olding氏のコメントですが、同世代の苦しい現状を伝えているかと思います。
日本(の特に大企業)においては、これほどまでの仕事の不安定さは無いと思われます。なかなか大変なようですね。
アメリカのY世代の話でしたが、日本でのゆとり世代とその他の世代間の理解を進める上で、なんらか参考になれば幸いです。ご一読感謝。
中堅社員にさしかかる若手社員の選抜/抜擢や育成に効く、適性検査やセンター方式とも異なるオリジナルのアセスメントサービスを行っています。
コストパフォーマンスも高く、オススメです! 若手社員コンピテンシーアセスメント
SpecialPR