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ベンチャーの社員は忠誠心が高いってホント?

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
更新が遅くなりました。本日はベンチャー系の記事を多く扱い、リアルマガジンも出版しているInc. Magazineより。

アメリカのベンチャー等小企業における忠誠心について。



How Loyal Are Your Employees?

おたくの会社の社員はどれくらい忠誠を誓っていますか?

http://www.inc.com/news/articles/201107/small-business-employees-not-as-loyal.html



一般的に、ベンチャー企業のほうが大企業よりもパッションとやる気に満ち溢れ、なんとかサービス化してやるぞ、とか、IPO/上場するぞ、とか、意気軒昂に日々を送っているイメージがあるのですが、どうやらそこまで、ではないようです。


Think "small" means close-knit? Think again: Small business employees aren't feeling as loyal to their employers as one would think, says a new study.

"小さい"ということは、結束が強いことを意味する? もしそう思っているのなら考え直したほうがいい。小企業の社員はみんなが思っているほど企業に対して忠誠心を感じていない、ということが最近の調査で判明した。


ニューヨークの生命保険会社、MetLifeのAnnual Study of Employee Benefits Trendsが今週月曜日に明らかにした調査結果です。1412人の小企業の社員が対象。それによると、


Employee loyalty in small businesses has dropped from 62 percent in 2008, to 44 percent last year,

小企業における社員の忠誠心は2008年の62%から、昨年は44%にまで下落した。

The loyalty rate at large businesses is 50 percent, according to the study.

大企業での忠誠心は、同じ調査では50%となっている。


かなりの下落率ですね。実態を見てみると、


Just over a third (34 percent) of small business employees surveyed would like to work for a different employer...At both small and large businesses, one in three employees hopes to be working elsewhere in the next year.

調査対象となった小企業の社員のちょうど3分の1以上が違う企業で働きたいと考えていることが分かった...そして企業規模に関わらず、3分の1の社員が来年には別の職場で働いていたいと考えている。


この忠誠心のよりどころは何なのでしょう。

(調査タイトルからわかるように)多少調査した会社側のバイアスがかかっている気はしないでもないですが(笑)、


A major indicator of loyalty: the quality of employee benefits.

忠誠心を左右するメインの指標とは: 福利厚生の質だった。


とのことです。


Nearly three-quarters (72 percent) of small business employees who are very satisfied with their benefits feel a very strong sense of loyalty to their employer, while 50 percent of small business employees who are not very satisfied with their benefits want to be working elsewhere.

福利厚生に非常に満足している小企業の社員のほぼ4分の3(72%)が、企業に対して強い忠誠心を感じていることが分かった。一方、福利厚生に全く満足していない小企業の社員の50%が、どこか別の職場で働きたいと感じていることも判明した。


同時に行った調査によると、企業側は社員がご機嫌に仕事をしていると思っているようです。福利厚生や労働環境の大きな変化にも関わらず、職務満足度や福利厚生への満足度は昨年同様だと。

しかし、現実的に、小企業の福利厚生はここ数年、あまりいい状況ではないようです。


Over the past three years, small firms have held benefits steady or trimmed them. Since 2007, the number of employers offering prescription drug and disability benefits stayed roughly the same, but slightly fewer offered medical, dental, and life insurance, said the survey.

この調査によると、ここ3年ほど、小規模の会社は福利厚生を現状維持もしくは縮小する傾向にある。2007年以来、処方薬を提供したり傷病手当金を支給する会社の数はほぼ変わっていないものの、医療や歯科医、生命保険などの提供はやや少なくなる傾向が出てきている。


日本とアメリカとでは保険の制度も違い、一概には言えない部分はありますが、保険を含めた福利厚生の充実は、離職率の高いアメリカにおいて、社員をつなぎとめる重要な役割を果たしていることはおわかりいただけるかと思います。


MetLifeのアメリカ担当副社長、Jeffrey Tulloch氏のコメントです。


"The study is a reality check for smaller employers who may still be viewing their workforce through rose-colored glasses,"

「この調査は自社の社員をばら色の眼鏡で見ている小規模企業にとっての現実性チェックの機能を果たしているのです。」

"Economic recovery will not only present opportunities for employers but also for top performers. One area small businesses may overlook is whether their benefits programs are designed as strategically as they could be."

「景気回復は企業だけでなく、トップパフォーマーにとっても絶好の機会をもたらすことを忘れてはいけません。小規模の企業が見落としがちな一つの側面は、その企業の福利厚生プログラムが本当に必要なレベルにまで戦略的にデザインされているかどうかというところなのです。


ではどう解決すればよいのか。コスト効率の高い方法は、任意給付を増加させるというもののよう。たとえ自己責任が生じるとしても、半数の従業員が歯科や傷病に対する福利厚生を望んでいるようです。


いや、しかし、こういうのを読むと、国民皆保険で国への負担が高いとはいえ、日本の保険制度は恵まれていることを痛感しますね。日本での忠誠心のありかは、またちょっと違うところにあるような気もしますが、なんらか参考にしていただければ。

ご一読ありがとうございました。




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