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人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

CIOが人事を乗っ取る日は近い

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
先週金曜のエントリはかなりカジュアルな内容で好評だったのですが(ワロタwという反応ですけども)、今週金曜日は2011年後半のスタートということもあって、やや真面目に。警鐘系です。


Why it's time for the CIO to take on HR
CIOが人事を乗っ取る日は近い

http://www.silicon.com/management/cio-insights/2011/06/06/why-its-time-for-the-cio-to-take-on-hr-39747498/?s_cid=894



MIT(マサチューセッツ工科大学)の情報システムリサーチセンターのディレクター、Jeanne Ross女史のインタビュー記事です。

人事がステップアップしない限り、情報システム部門がおいしいランチを食べているのをただ指をくわえて見てなくちゃいけなくなる、と警告を発しています。

CIOとはChief Information Officer、最高情報システム責任者の略です。会社によっては情報システム部の管掌/担当役員に当たるとお考え下さい。


"Technology and human capability are so closely tied together that you don't want them very far apart in your organisational chart. One possibility is that HR and IT are going to merge - those are two units that should seriously consider being linked."

テクノロジーと人の能力は非常に密接に結びついているので、組織図上この二つを離しておくいわれは無い。一つの可能性として、人事とITは合併をすべきと考えている。この二つの機能を結びつけることについて、もっと真剣に考える必要がある。


そもそも自社の人材を効果的に活用してビジネスを進めていく上でテクノロジーが重要な役割を果たすようになってきた以上、この二つの部署はくっつけるのが適切だと語ります。

また、あらゆるソフトウェアが人事の領域、例えば給与管理、業績管理、採用、人材マネジメント、ローテーション、人材分析やトレーニングにおいて大きな役割を果たしていることから、ITは社員の力を測定し、フルに発揮させる上で重要な役割が果たせるポテンシャルを持っている、と続けます。

しかし、問題はまだほとんどの会社で社員の人材開発にテクノロジーが有効に活用されているとは思えず、それゆえにIT部門が人事にとってかわる余地を大きく広げていることだ、と。


"If HR doesn't step up [to this challenge], we will find that the great IT leaders are going to say, 'Man, we've got to do more around the effective use of technology and staff development'," she said.

"The great leader will emerge as someone who understands this very tight relationship between using technology and information well, and making people more effective."

「もし人事が(この挑戦を受けて)ステップアップを図らない限り、優れたITリーダーが『それなら我々がテクノロジーを有効に活用して社員の人材開発にもっと影響力を発揮することにしよう』といい始めるだろう。」と彼女は語ります。

「テクノロジー利用と情報の有効性についての確固たる連携を深く理解している優れたリーダーが今後台頭してきて、社員をより成長させていくだろう。」


IT部門が人事部の牙城に足を踏み入れることを容易にしたのは、人事が採用や退職、昇格、人材育成などにかまけて、それらを越える役割を果たしてこなかったからとのこと。


"It's not so much what HR is currently doing for firms, it's what HR ought to do but isn't doing," she said.

"Responsibility for making people effective in a lot of companies has been thrust upon individual managers, who are never equipped to do it well."

「人事がやっていることは今現在会社のためになっているとはいいにくい。やるべきことはあるのだが、それが出来ていないのだ」と彼女は言います。

「社員の育成責任は、今や多くの会社で個々のマネージャーにゆだねられてきている。その一方で彼らは効果的に育成を行うための支援を受けていない。」


Ross女史は、社員の育成責任が徐々に個々のマネージャーから中央統制的なビジネスユニット、特にシェアードサービスセンターに移っていくと予測しています。

そうなるとなおさら、CIOが管掌する可能性が高まります。

またおそらくは、会社がその役割を重視していく一方で、CIO自身がその役割を認識し、その責任を果たすよう、会社に働きかける可能性が高いと予測します。


"A lot of companies with these big global-process and shared-services organisations are often headed by the CIO, such as places like Procter & Gamble."

グローバルレベルでの業務プロセスを持ち、シェアードサービス組織を抱える多くの会社はCIOが率いることが多い。例えばP&Gがそれにあたる。


人事とITを集約することで、会社のビジネスとテクノロジーの変革が連動し、全ての支援の権限や問合せ先が一極集中することは、確かに望ましい形ではあります。

また、現状の人事が事務的な作業を行っているのであれば、それこそIT部門、というよりもむしろITが得意とすることだ、と語ります。


"In so many organisations HR is administrative stuff and IT could take that on."

「たいていの組織では人事は事務系のスタッフで構成されているが、ITならそれらを全て肩代わりすることが可能だ。」


日本の人事は情報テクノロジーとの親和性が海外と比べて薄い(職務ベースではないため)ことはあるにせよ、グローバル人事が声高に叫ばれる今、こういった論調にも耳を傾けるのもいいのかもしれません。

ご一読感謝。TGIF!





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