ソーシャルリクルーティングを"ブーム"で終わらせないために
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長らく(ほぼ1年)更新をサボっておりました。楽しみにしていただいていた方がいらっしゃったのなら、大変申し訳ございません。ソーシャルリクルーティングについて、どうしても見解を語りたいと思い、久々に筆をとりました。(ものすごく旬が過ぎて今さら感がありますが......)
これから3~4回くらいにわたって、ソーシャルリクルーティングについて次のような構成で取り上げていきます。
1. ソーシャルリクルーティングが"ブーム"で終わると危惧する理由
2. ソー活とソーシャルリクルーティング、まずは明確に分けて考えよう
3. "ブーム"で終わらせないために注目したいソーシャルリクルーティングの可能性
4. なぜソーシャルリクルーティングだったのか。就職活動を取り巻く問題
● ソーシャルリクルーティングは"ブーム"で終わるんじゃないか――と思っていた
というのが私の結論です。少し前までは90%くらいそう思っていました。それが最近は徐々に考えを変え、世の中にとって望ましい形でソーシャルリクルーティングが広まってほしいと願うようになっています。
これからの一連のエントリーがごく微力ながらも、何年か先に「ソーシャルリクルーティングって使えないんだよねー」という言説が出始めることの/出始めた時の予防線になってくれればいいなとも願っています。
なぜ「ソーシャルリクルーティングは"ブーム"で終わる」と考えていたのか。それは10年ちょっと前にブームになったインターンシップを取り巻く環境と、状況がかなり似ていると感じたからです。
インターンとソーシャルリクルーティングの共通点。それは「手間は掛かるけど、格安で優秀な学生を採用するのに適した手段」だという文脈で企業側に注目されたことです。
初期にソーシャルリクルーティングが注目された背景として、この誠ブログの運営母体であるITmediaが新卒採用で活用し、大いに成功したことが要因の1つとして挙げられのではないでしょうか。
● インターンシップとソーシャルリクルーティングの共通点
私が"ブーム"の初期段階において、具体的に両者が「共通している」と感じる点をいくつか挙げてみましょう。
・優秀な学生を採用しやすい
インターン → インターンが注目され始めたころ(10年ちょっと前)、「ビジョンがはっきりしていて、やる気のある優秀な学生が採用できる」という噂が広がる。
ソーシャルリクルーティング → TwitterやFacebookが急速に普及してきたタイミングで「アンテナの鋭い、ITに強い優秀な学生が採用できる」という認識が広まる。
・学生と企業のミスマッチングを防げる
インターン → 比較的長期(1週間以上)にわたって学生を企業内に入れて実業務を体験させることで、業務に関する理解を深められる。社員とのリレーションも築けるため、ミスマッチングや内定辞退を防ぐことができる。
ソーシャルリクルーティング → ソーシャルメディアを活用し、お互いに包み隠さない本音のメッセージをぶつけ合うことで、相互理解を深められる。だからミスマッチも防げる。
・人事にとっては手間が掛かり、社内の受け入れ体制を整えるのも難しい
インターン → 受け入れる部署との調整が大変! 通常業務を回しながら学生を受け入れて教育して業務体験させるなんて、よほどの覚悟がないと無理! 初期ハードルが高く、偉い人の理解が必要。
ソーシャルリクルーティング → 本音のぶつかり合いなんて怖い! どこまで本音で語って良いか分からないし判断もできないので、よほどの覚悟がないと無理! 初期ハードルが高く、偉い人の理解が必要。
という初期の状況が中期に移ると何が起きるのでしょうか。インターン"ブーム"の中期に起こってしまったことは次のとおりです。
企業側の変化 →
1. 「優秀な学生が採れる」「手間が掛かるけど就職情報誌などに払う費用を考えれば安いもの」といった噂が徐々に広まり、覚悟を持った偉い人/担当者のいる企業以外でも導入が広まる。
2. でも覚悟を持った偉い人/担当者のいない企業で、受け入れ部署になる現場を説得するのは大変。徐々に現場の負担が軽くて済むように「1dayインターンシップ」なるものが登場し、「それって企業説明会とどう違うの!?」とツッコミたくなる企業が続出。
学生側の変化 →
1. 「あの企業がインターンから採用するらしいよ」という噂が徐々に広まり、元から意識の高い、本当の意味でインターンを求めていた学生以外の層もインターンに参加するようになる。
2. 「インターンに参加しないと就職できない」という義務感のようなものが芽生え、やる気がなくても「とりあえずインターンに参加してみよう」という学生が増える。
という流れから企業は「インターンやっても、ろくな学生来ないよね」となり、優秀な学生ほど「インターンに参加しても、本当に自分たちが得たい経験・情報が得られなくなったよね」となります。それでインターンが終わったコンテンツ扱いされるようになってしまった――というのが私の見方です。
前述のように、ソーシャルリクルーティングもインターン同様に"ブーム"で終わるんじゃないか、と危惧していました。「インターン」を「ソーシャルリクルーティング」に置き換えて、内容をチョコチョコと書きかえれば、まったく同じ状況が繰り返されるのではないかと予測していたのです。
ちなみに、上記ブログ中でITmediaの担当の方ご自身が「ソーシャルメディアを利用するというのはツール論であり手段の話なので、そこを取り違えないように気をつけたいところです」(上記エントリーより引用)と述べていらっしゃいました。インターンはまさに手段が目的化したために"ブーム"化してしまったと考えているので、ソーシャルリクルーティングが同じ轍を踏まないように願うばかりです。
次回(掲載時期未定)は、いわゆる「ソー活」とソーシャルリクルーティングを一緒にしないでね~、というこれまた非常に今さら感の漂う話を書きたいと思っています。
※ たまにソーシャルリクルーティングに関する記事を読む程度の知識しかありません。のに偉そうに書いてます。ツッコミどころはたくさんあると思いますが、逃げはしないのでジャンジャンご指摘ください。
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