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リンクトインが変えるBtoBビジネス・マーケティングの姿

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[読了時間:3分]

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 このエントリは「リンクトインでBtoBマーケティングをする方法にはどんなものがあるのかを紹介。そしてリンクトインがBtoBビジネスを変える最たるものは企業のブランド・マネジメントだ」という内容について書いたエントリです。


▼リンクトインはBtoBマーケティングに使えるツール

 改めてですが、リンクトインというプラットフォームはBtoBのマーケティングに活用出来ます。ということでBtoBマーケティングに関するご紹介です。
 ※ちなみにですが、構造としては、ビジネスパーソンがそもそもの主役であり、企業や大学はそこでマーケティング活動を「させていただく」立場だと思っています。Facebookと同じですね。Facebookもユーザーがわいわいと交流するのが目的であり、企業がマーケティングをすることを目的として作られた場所ではありません。

 現時点では下記の4つのマーケティングがあると認識しています。なお、リンクトインはすごいスピードで色々な新機能を実装しているため、ここに書いている記事が少し時間が経つと意味がなくなってしまうかも知れませんので、その旨のみ予めご承知ください。


 1:ターゲティング広告

 HomeタブのAdvertise on LinkedInを選択すると、地域・業種・従業員規模・職種・所属グループ・性別・年齢などの詳細を設定してターゲティング広告を出稿できます。例えば私のトップ画面に表示されている広告を見ると、海外のソーシャルメディアのモニタリングサービスなどがよく表示されますが、これはおそらく私が「social media marketing」というグループに所属しているからではないかと推測されます。
 広告からどこへ飛ぶのか(いわゆるランディングページ)はいくつかある中から指定が出来ます。外部の自社サイトか、後述するような営業パーソンのプロフィールページか、さらに後述の企業公式ページの製品ページに飛ぶのかなど、他のマーケティングの手段と組み合わせることが出来ます。


 2:営業パーソンの露出

 グループ機能やQ&A機能を営業パーソンに駐在させて、購入検討者から質問があれば回答することでその業界のインフルエンサー(影響力のある人)になることが可能です。「広告をクリックして営業パーソンのプロフィールページへ飛ぶ」→「この人はこの領域では信頼できる人らしい」→「その会社に発注」というビジネスの流れが考えられます。
 これは言い換えるならば、「オンライン上で常に営業セミナーをやっている」という感覚にやや近いかも知れません。


 3:企業ページでの推薦文

 先日のエントリ「LinkedInの「推薦」機能がすごい」でも紹介した機能ですが、リンクトインの企業公式ページには製品・サービスの情報を掲載することが出来、さらにそこにユーザーからの推薦文を付け加えることが出来ます。
 これは言い換えるならば、「お客様の声」というところでしょうか。
 購入検討者が何かの製品やサービスを探す際に、リンクトインで企業検索をかけ、求めるサービスがどんな企業からどの程度推薦されているのかが検討材料の一つになってくることが推測されます。あるいは、その会社に知り合いの知り合いがいるのなら、その人がどんな人かどんな会社なのかを聞くことも材料になるかも知れません。
 ちなみにですが、開発者ページからは様々なプラグインを引っ張れますので、外部の企業ページにリンクトインのプラグインを設定することでリンクトインに誘導することなども可能です。


 4:Q&Aページでのトピックの取り上げ

 これは現在開催されているキャンペーンで、どういう仕組でされているのかが正直わかっていないのですが、AnswersというQ&Aのページに行きますと右上にFeatured Categoryという項目があり、シスコ社さんが中小企業/スタートアップ企業向けのソリューションの紹介などをしているのが確認出来ます。ページ内はいつも通りのQ&Aページですが、ところどころにシスコ社さんの外部サイトに飛ぶバナーが掲示されています。
 これは、ある特定のテーマを企業が取り上げることで「このテーマといえばこの会社」(この例で言うと、中小企業向けネットワークソリューションならばシスコ、といったところでしょうか)という認知を広げることが出来ると推測されます。


▼リンクトインが変える企業のブランドマネジメント

 大きな流れとしては、「企業に発注をする際に得る情報」というのがどんどんリンクトインに集約されていると言えると思います。その企業の実績、従業員の能力の程度、どの程度注目されている企業なのか、自分の知り合いはいるのか、誰がその企業を推薦しているのか、などなどの情報がリンクトイン上では手に取るようにわかるので、今後はこれらの情報を元に製品やサービスの導入の判断することになってくるのだと思います。
 しかし私が一番興味深いと思うのは、リンクトインが組織のブランドマネジメントに多大な影響を及ぼすのではないかという点です。
 これはリンクトインだけの話ではありませんが、ソーシャルメディアが拡大していくにつれて組織から個人へのパワーシフトが起こっており、影響力を持つ個人が増加してきています。今はそれらの現象がブログ・フェイスブック・ツイッターを舞台としていますが、リンクトインが日本語化されることでこの流れはかなり加速するだろうと考えています。そうした中で、「あの有名な●●さんや●●さんが所属している企業なので、サービスの質は高いに違いない」といった観点がビジネスの在り方に影響を及ぼしてくるだろうと考えています。
 言い換えるならば、「従業員のセルフブランディングの総体が企業のブランディングに直結する」という時代なのではないかというのが私の考えです。先日慶応義塾大学で開催されたQuora社にお勤めの上杉さんの講演の話で「(シリコンバレーでは)一番駄目なことは、駄目な人を採用する事。そうすると、優秀な人間がその会社を見縊る。シリコンバレーは、噂がすぐに広まる。駄目な人を絶対に採用しない事」といった話があったのですが、この感覚に通じるものだと思いますし、そういった感覚が日本でもかなり広まってくるのではないかと考えています。

 本エントリは以上です。よろしければ下記よりご感想などコメントをお寄せいただければと思います。


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