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物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット」

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経済産業省と国土交通省は2022年3月8日、フィジカルインターネット実現会議において、物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット」を我が国において実現すべく、2040年を目標としたロードマップの取りまとめを公表しました、

まずは、検討の背景です。

電子商取引の増加や積載効率の低下、人口減少に伴う労働力不足の深刻化等により、物流における需要と供給のバランスが崩れつつあり、この状況を放置すれば、2030年時点で、7.5~10.2兆円の経済損失が発生するなど、経済全体の成長を制約することになるだけでなく、物流機能それ自体の維持が困難になるおそれがあると指摘しています。

こうした事態を回避し、物流を産業競争力の源泉としていくため、2040年を目標とした物流のあるべき将来像として、我が国における「フィジカルインターネット」の実現に向けたロードマップを策定することを目的に、2021年10月にフィジカルインターネット実現会議を設置し、今回、ロードマップを取りまとめています。

フィジカルインターネットは、インターネット通信における、データの塊をパケットとして定義し、パケットのやりとりを行うための交換規約(プロトコル)を定めることにより、回線を共有した不特定多数での通信を実現する考え方を、フィジカル、つまり物流の世界にも適用しようという考え方です。

本ロードマップでは、業界横断的に行うべき取組として、「ガバナンス」・「物流・商流データプラットフォーム」・「水平連携」・「垂直統合」・「物流拠点」・「輸送機器」の6つの項目に整理しています。

各項目について、パレットやコンテナ容器等の物流資材の標準化・シェアリングや、データ連携のためのマスタ、プロトコルの整備、企業経営者のサプライチェーンマネジメントやロジスティクス重視への意識変革など、2040年までに段階的に行うべき取組を示しています。

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出典:経済産業省 国土交通省 フィジカルインターネット・ロードマップ 2022.3

本ロードマップでは、フィジカルインターネットが実現する4つの価値として、

・「効率性(リソースの最大限の活用・CO2排出の削減等)」
・「強靭性(災害にも備える生産拠点や輸送手段の多様化等)」
・「良質な雇用の確保(労働環境の改善・新産業の創造等)」
・「ユニバーサル・サービス化(買い物弱者や地域間格差の解消等)」

が挙げられることを示しました。

これらの価値は、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」における17の目標のうち、8つの目標(保健、エネルギー、成長・雇用、イノベーション、不平等、都市、生産・消費、気候変動)の達成にも寄与するとしています。

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出典:経済産業省 国土交通省 フィジカルインターネット・ロードマップ 2022.3

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