恐るべし米国GEのスマートホーム戦略の秘密、アップル、グーグルと正面から激突へ、その先の凄み・・
産業インターネットを提唱し、スマート工業社会における新しい経済成長の可能性に言及して米国政府を動かし、インテル、IBM、シスコ、AT&Tらと産業インターネットコンソーシアムを立ち上げた米国重電の大手GEが消費者インターネットでも新たな動きに出て来ました。
■ 集合知活用が徹底するGEのスマートホーム戦略
GE家電部門のスマートホームアプローチが注目されています。生活者の集合知を活用する発明企業Quirkyと組み、ソフトウエアによるサービス企業Winkの設立を促して、スマートホームに進出しました。
■ アップルと全く同じシンプルな戦略
GE家電部門はQuirkyの家電発明品を販売するホームデポと組み、全米二千店でスマートホーム機器販売のミニ店舗の展開を7月から開始しました。アンドロイドとiOSのスマートフォンアプリ(Wink制作)を活用して、スマートフォンアプリで操作出来る約60のブランドの150製品を販売します。これはWWDC2014で発表されたアップルのホームキット+MFI認証と全く同じアプローチです。
販売される製品にはGE製15ドルの格安LED照明や卵トレイなどQuirkyでアイデアが出て来た製品も含まれています。(Dropcam, Honeywell, Leviton, Schlage, Philips、Kwiksetなどなど)
集合知の活用により徹底してコストを抑え、シンプルで魅力的なスマートホーム製品を作ろうとしています。
GE+発明企業Quirky(集合知活用発明企業)+Winkアプリの連合を見ているとコストが安くアイデアの出やすいスタートアップ企業が鉄砲隊で攻める中、後ろで赤備えをした武田信玄の騎馬軍団が控えて威圧していると言ったイメージです。しかし日曜大工のホームデポと提携とは考えましたね。
一方何故かそれに危機感を覚えた文具チェーン店のステイプルズは独自にスマートホーム製品をアプリとサービスでネットワークし、市場に出ました。
■ コントロール4もスマートシングスも吹き飛ぶ勢い
これまで一つにはスマートホームやスマート住宅は、コントロール4もスマートシングスと言ったスタートアップ企業が担っていました。しかしこれらの企業はホームデポやターゲット、ベストバイなどには強力な繋がりがありません。一方実質GEが立ち上げたWinkアプリにはQuirkyと伝統販売店各社の繋がりがあります。それにGE=武田騎馬軍団の威圧感や信頼感を加えれば伝統販売店との協力関係は一挙に広がります。これでGEはスタートアップ企業を一挙に抜き去りました。
■ ベライゾン、AT&T、コムキャスト、警備保障、住宅企業も真っ青
これまでスマートホームの市場はクアッドプレイの延長線上にベライゾン、AT&T、コムキャストが新たな儲け話と考え、進出しています。(同様に日本でもNTTドコモがホームICTを検討していました)またそれに対抗して警備保障関係や住宅着工関係の各社が進出しています。(国内でも住宅産業のエスバイエルを買収したヤマダ電機が進出しています)
しかし日曜大工の量販店などで対面販売を始めるGEやアップルは、スマートホーム市場を席捲するかもしれません。
グーグルには買収したネストラボがあります。
■ 集合知を利用したネットサービス型総合家電メーカーの時代か?
アップルもグーグルネストラボもGEも全ての製品を自社で抱え込むのではなく、アプリとネットワークによる繋がりを梃子に、玉石混交の集合知に基づく新たなアライアンスを作り始めています。例えばフィリップスはLED照明をアップルともGEのWinkにも対応させています。しかしサムスンやLG、日本家電は参加したくても社内政治の関係で参加できません。理由は全ての製品を社内で抱え込み、外部の集合知を活用できない構造の為です。
全てを自前で作っている総合家電メーカーは韓国も日本も家電崩壊以上のピンチに陥るかもしれません。サムスン、LGも真っ青でしょう。
120万本のアプリを集合知で開発したアップルに続いてGEなどはネットサービス型製造業(21世紀型総合電機メーカー)を目指して、スマート機器の開発と製造で集合知の活用を開始しています。
■ アストラムなどにも応用するだろう
GEは先ごろフランスのアルストムからエネルギー部門を買収しました。シーメンスと三菱重工連合が敗退しました。GEは次に必ず産業インターネットに集合知活用の知見を入れて来ると思われます。今回のスマートホームにおける消費者インターネット戦略はアライアンスや集合知活用のノウハウ獲得の実験の面があります。
GEがエンジンだけ制作している航空機の全般のサービスを提供するには、当然、その他の部品企業とアライアンスを結ぶ方向に行きます。医療機器も同じです。全ての医療機器をGE一社が提供出来る訳では有りません。従がってアプリとネットワークを抑えて、その上に様々なサービスを築きあげて稼ぐB2B向け「サービス支配論理」の壮大な実験、前哨戦と考えて間違いないでしょう。
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<出所:テッククランチ>
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