スマート革命と企業買収、米国ヤフーに買収されたタンブラーはマイスペースの道を進み没落するのか、YouTubeの道を進むのか!!?
<序文>
この話は今朝のCNNニュースのトップでした。
さてパソコンとブラウザーの時代から、一人が七台のスマートデバイスを時と場所により使い分けるスマート革命が進行する中、米国ヤフーがツイッターのリツイートのような「リブログ」で有名なタンブラーを買収しました。タンブラーはブログとツイッターと写真や動画のソーシャルネットワークを合わせた仕組みを持っており、若者に大人気です。2007年に立ち上げられた若い企業です。2012年から広告ビジネスを開始し、13百万ドルを売り上げており、今年は一億ドルの広告売り上げが見込まれています。
良く米国のドラマでスマートフォンから写真と一言ブログを投稿しているシーンが出て来ますが、あの多くはタンブラーですね。
一方グーグルからマリッサ・メイヤー紙をCEOに引き抜いた米国ヤフーは既に18年の歴史を持ち、次第に衰え始めており、視聴者の高年齢化と若者を引き付けられない悩みを抱えています。
ヤフーによるタンブラー買収は、週末の取締役会で承認され、今夜(2013年5月20日)プレスを集めたイベントで発表されます。買収額は現金で約11億ドルと見られています。果たして米国ヤフーによるタンブラー買収は、成功するのでしょうか。米国の各テックブログは、買収されたタンブラーは「マイスペースの失敗の道」と「、YouTubeの成功の道」のどちらをたどるのかと問いかけています。
米国ヤフーのメイヤーCEOはタンブラー買収にヤフーの命運をかけるほどの入れ込みようだそうですが、賭けは成功するのでしょうか?
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<出所:CNET>
タンブラーはスマートデバイスに浸透
<既存のソーシャルメディアを越える新しい仕組みは粗削り>
パソコンとブラウザー中心文化がスマート革命の進展により大きく揺さぶられています。その中でフェースブックなどの既存のソーシャルメディアが体制や現実社会に適応する道を歩む一方、スマートデバイス上では、プライバシー規制などを嫌う、若者の表現の自由、洗練された社交の在り方を求めた新たな仕組みが登場を始めています。メッセージサービ・スアプリのWhatsapp、Wechat、カカオトーク、LINEなどです。また写真のインスタグラム、10秒以内に消え去るスナップチャットなども大人気です。その波にタンブラーは乗っています。
それぞれの仕組みは粗削りですから社会との摩擦もあれば、一方洗練されて社会を変える仕組みに育つ可能性もあります。
<文化の摩擦をどう克服するのか?>
買収に際して最も重要なのは企業間の文化摩擦です。これは当然、お互いの顧客=今回の場合は参加者の間の摩擦も含まれます。
マイスペースを米国のメディア王ルパート・マードック氏率いるニュースコープが買収したのは2005年7月、買収額は5億8千万ドルでした。しかしその後マイスペースは没落を開始し、最終的にニュースコープは役に立たなくなったマイスペースを2011年6月、スペシフィック・メディアに安値で売却しました。失敗の理由は幾つか挙げられていますが、そのひとつに伝統メディアとの文化の摩擦があります。
一方YouTubeは2006年10月、グーグルに16億5千万ドルで買収されました。こちらの方は共に若い会社とあって文化的な摩擦も少なく、YouTubeは黒字を達成したと見られており、今後のグーグルの広告ビジネスの屋台骨を支えるのに貢献しています。グーグルの映像ビジネスの柱、スマートテレビの柱はYouTubeとグーグルプレイです。
タンブラーの場合には米国ヤフーの古いWeb中心文化、パソコン文化との相性と摩擦が懸念されています。ヤフーは高齢化問題を抱え始めています。("One of our challenges is we have had an aging demographic,")
約一億人(2013年4月は1.17億人)と見られているタンブラーの実質参加者がヤフーメールやフィリッカーなどの古いサービスを使うでしょうか?
<タンブラーのポルノ問題はYouTubeの著作権問題と類似なのか?>
ヨガのパンツをはいた女と題されたタンブラーのブログ
同時に多数のポルノ写真が上がっている。
<出所:タンブラー&allthingsD>
タンブラーが若者に人気な理由は、フェースブックのような厳密な実名主義などをとっておらず、表現が比較的自由な点です。その為、allthingsDも指摘しているように多数のポルノ画像の投稿で溢れています。グーグルがYouTubeを買収した時には著作権問題がありましたが、タンブラーのポルノ問題は米国ヤフーに影響しないのでしょうか?
若者の求める既存社会からの制約の自由、表現の自由は新しいサービスを盛り上げる突撃力であると共に既存の社会との摩擦の根源でもあります。上場会社の米国ヤフーがこの問題を如何に回避するかが注目点です。
スマート革命の進展の中で国内外の各種のソーシャルメディアが激しく揺れています。タンブラー買収はその一つの横顔と言えるでしょう。