スマート革命、スマホによる家電操作は経産省の規制違反、パナソニックのスマート家電の一部が古い規制で中止に追い込まれた訳
<序文>
一人一台のパソコンから一人が七台の多様なスマート機器を活用するスマート革命時代(ポストPCコンピューティング時代)を迎えて、国内の様々な古い規制が日本の平成維新の邪魔をし始めています。その有様はまるで黒船によるペリー提督来航時の江戸幕府を思わせる古い日本の姿です。
白物家電に関して「スマート家電」を掲げてパナソニックが8月末に打ち出した8種類の家電製品を対象としたスマート家電においてはクーラーの自宅外からのスマートフォンによるオンとオフの操作が電気用品安全法技術基準に抵触するとして経済産業省からの指導が入り、パナソニックはアプリの機能の一部をサービス停止としました。
脱テレビを唄って2012年3月期の家電崩壊から立ち直りを図るパナソニックは太平洋戦争時代に放置された古い地雷のようなイメージの規制により冷水を浴びせられました。
<出所:パナソニックのプレスリリース>
★★ パナソニックはスマート家電へ
★★ パナソニック、「スマート家電」を本格展開
★★ 8月21日発表 ルームエアコン「Xシリーズ」
パナソニックスマートアプリ機能 一部仕様変更のお知らせ
★★ 「スマホで電源オンはだめ」 パナソニック、新型エアコンから一部機能外す
<日本でスマートハウスは実現できないのか?>
パナソニックのプレスリリースには、外出先からのスマートフォン操作による家電の運転オン操作は、経済産業省の見解として電気用品安全法 技術基準への適合に課題があると言う風に行政指導がなされたと書いてあります。
引用
【変更理由】
電波を利用した、外出先等からの遠隔操作における、運転オンの機能は、監督官庁とも協議いたしました結果、電気用品安全法 技術基準への適合に課題があると判断し、同基準へのより確実な適合を図るために、遠隔操作の一部仕様(運転オン機能)を削除することにいたしました。
引用終わり
確かに産経の記事である通り、パナソニックのスマート家電は「外出先からスマホで電源を入れる機能を売り」にしていました。また国内で家電メーカーが本格的にスマートハウスに進出した先例として各方面から期待されていました。確かに個々の家電機器の値段が高すぎるとか、今一つ工夫が足りないなどの批判もありましたが、スマートテレビ敗戦からの復活と言う視点で考えるならば、国内家電業界にとってパナソニックの試みは先駆けとの役割を期待されていました。またパナソニック電工と経営統合した成果を世に問う機会でもあったと考えられます。
しかしこんな古い地雷のような規制を重視してスマート家電の試みを邪魔する状況は、経済産業省にも早く、本来の姿に直す施策を実施してほしいと思います。
<サービス支配論理が理解できない日本>
ブロードバンドではグーグルが実験している一ギガスピードが約5000円程度のサービスが、先行する日本では2012年秋から最早、常識になっています。一方でサービス面では、スマートフォンやタブレットからの自宅家電操作に古い法律の邪魔が入っています。正しく日本は「モノ支配論理」=インフラ重視の国であり、「サービス支配論理」の国ではありません。ハードウエア機器の性能や安全性ばかり考えてテレビやスマートフォンで負けた轍を再度、スマート家電で踏むのでしょうか?
<古い規制ばかりの日本は徳川幕府そっくり>
昔、1853年、ペリー提督が東インド艦隊を率いて来航した時の日本は、なにも決められない天下太平の国=鎖国政策の江戸幕府の時代でした。変化が無い方が良かった訳です。現在の日本も古い法律、古い規制(政府見解)がインターネット選挙の実施を妨害し、スマートテレビで必要なロケーションフリーサービスもアライブの規制で個人レベルのサービスすら実施が出来ません。そして今回はスマート家電が古い規制(電気用品安全法技術基準)で妨害されています。
まさに時代遅れの徳川幕府にそっくりと言えます。
問題は総務省も経済産業省もこう言った課題を本気で解決する気がどこまであるのかと言った点でしょう。これらは四半期程度の期間に解決してほしい課題ばかりです。一部の識者からは早慶戦(今回の事態は総務省と経産省の垣根争い)と言う指摘もありますが。
いずれにしても韓国などは「150年前の産業革命時=明治維新時には日本だけが社会構造の転換に成功した。」「しかし今回は負けない。」と言っているのを聞いていると下手をすれば日本だけが先進国から脱落し、衰退しかねません。折角、一ギガのブロードバンドサービスを持ちながら、スマート家電も実施できない国はグローバルに笑ものにされても仕方がないと思われます。家電のオフができてオンだけが出来ないと言う非常識な規制です。
こう言う処(サービス支配論理への無理解)がスマート革命についていけない日本の弱点でしょう。