タタタターン、タタタターーン
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運命である。
夏の演奏会も無事終わり、1月に行う定期演奏会の練習に入っている。今回は、ベートーヴェンの交響曲第5番、通称「運命」がプログラムに含まれる。通常、19世紀から20世紀前半の重厚長大な作品ばかりを取り上げている当団としては、異質の試みかもしれない。そのせいもあって、実質四半世紀ぶりぐらいに「運命」を弾く。
ちょうどここ1年半ぐらいで、ブラームス → ベルリオーズ → ベートーヴェンと遷移してきたので、「運命」を弾くと、彼らの交響作品の源流をあらゆるところで感じる。ベルリオーズの「幻想交響曲」は確かに破天荒な作品ではあるが、ベートーヴェンあってのベルリオーズということを改めて認識する。
さて、「運命」といえば、出だしの「タタタターン」である。このあまりに有名なフレーズの弾き方は、関係者の間では暗黙知であるものの、一般にはあまり知られていない。実際、指揮者が振り下ろす棒でなぜ合うのか。おかしいではないか。
一般的に、最初のフレーズは、次のいずれかの取り方をする。
厳密にいうと、①はリズムが違うのだが、4分音符ひとつの音価で、「せーの」と合わせられる。②の場合、最初の8分休符、「ん」で合わせる。いずれにしても、ほとんど100メートル走のスタートのような緊張だ。
ちなみに、「タタタターン、タタタターーン」とやったあと、次に旋律を弾き始めるのは、セカンドヴァイオリンだ。実質的に、セカンドの最初の8分休符(「ん」)の加減で、全体のテンポが決まる。このような大変重要なパートでありながら、初見大会(いわゆる「ショケタ」)では、そのことを忘れてテンポを作らずにうっかり流してしまった。
何しろ四半世紀ぶりなのだから仕方がない。
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