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Windows 7 のサポート終了と Edge の IE 互換機能の関係とは

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Windows 7のサポートが2020年1月14日で終了します。7月14日はそのちょうど半年前ということで、連休中にもかかわらずあちこちでニュースになっていました。

Windows 7サポート終了まであと半年...そのまま使い続けると生じるデメリットは?

大騒ぎになったWindows XPのサポート終了から5年。今回は、前回よりは多少状況は良い感じですが、Net Marketshareの調査では、Windows 7のシェアをWindows 10が上回ったのは昨年11月、先月時点でもシェアは38%対40%と拮抗しています。今後半年かけてもそれほど大きくは変わらないでしょう。笑えるのはWindows XPが未だに3.18%もあることで、Windows 8.1の4.54%とそれほど変わらないのです。

computer_desktop_bad.pngEdgeのIE互換モード搭載はレガシー環境一掃への布石?

これで思い出したのが、以前書いたEdgeへのIE互換モード搭載に関する記事です。

IE の亡霊を断ち切れない Microsoft

記事を書いたときには気がついていなかったのですが、今回Windows 7のサポート終了のニュースを見て思ったのは、Microsoftはこのサポート終了のスケジュールにあわせて、EdgeのChromiumへの移行やIE互換モードの搭載を決めたのではないかということです。

ChromiumベースのEdge ~自前主義からの脱却を進めるMicrosoft

WindowsユーザーをすべてWindows 10に移行させるのがMicrosoftの戦略です。Windows 7のサポート終了はそのためには良いタイミングで、世間の注目も集めるでしょうし、移行も加速されるでしょう。しかし、OSは乗り換えられるかも知れませんが、IEは棄てられないのです。Windows 10に未だにIE11が(隠されていますが)搭載されているのがその証拠です。

IE環境をサポートし続けることを決意?

しかしこのままだと、未来永劫IEをバンドルし続けなければなりません。多くの脆弱性を抱え、サポートもできないアプリケーションを最新のOSにバンドルし続けるというのは、セキュリティ面からもよろしくありません。(IEを作り直したり、バージョンアップするという選択肢は無いでしょうし)

Microsoftはここ数年、IEの撲滅のために様々なキャンペーンを行ってきましたが、ユーザーはなかなかIEをあきらめてくれません。このままでは、状況はどんどん悪くなります。とにかく、IEの提供をやめたかったのではないでしょうか。

ということで、EdgeにIE互換モードを搭載する、という方針になったということではないかと想像します。言い換えれば、IEの提供はやめるが、IE環境は今後もサポートし続けるという決断を下したということができます。

その流れの中で、EdgeのエンジンをChromiumに変更するという決断も出てきたのかも知れません。エンジンを外部に頼れば、独自性は失われますが、開発負担は軽減できます。Microsoftとしては、IE互換機能にリソースを集中させ、とにかくIEを無くすという目標は達成したいと考えたのではないでしょうか。

HTML5のエンジンは誰かが作ってくれますが、IE互換機能なんて、Microsoft以外が作るはずもありません。さらに、互換性が中途半端ではユーザーが納得せず、結局IEが残ってしまいます。IE互換機能のできは、今後のMicrosoftの戦略にとっても重要な意味を持つわけです。(まあ、互換性維持はMicrosoftのお家芸ですので、大丈夫かとは思いますが)

標準技術の大切さを学んだMicrosoft

元はと言えばMicrosoftがIEで独自のHTMLタグなどを追加したからいけないのです(とはいえ、当時はブラウザ戦争でNNも独自タグを追加するなどしていました)が、Microsoftとしても、当時はW3Cの動きが悪いなど仕方なかった面もあったのではと思います。(真相はわかりませんが)

しかし、結果として標準技術であるHTMLをフォークしてしまい、その後処理にこれだけ苦労しているということです。Microsoftは標準技術を勝手に弄ることのリスクを学んだでしょうし、今後そういった部分にはコミュニティへの参加という形で関わることにしたということでしょう。

 

クラウドの未来はどうなるのか?

クラウドの世界は常に進化し続けています。御社では、未だにIEベースの社内システムが動いていたり、WebサイトでFlashなどの古い技術を使い続けたりしてはいませんか?

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