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OSベンダーでは無くなったMicrosoft

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前回のエントリ「Microsoftの逆襲 ~OSSを取込んだMicrosoftは手強い~」の中で、「Microsoftは完全にクラウドに舵を切った」と書きました。

そのときは、なんとなく勢いで書いていた部分もあるのですが、FEST2015を覗いてみて、「舵を切ったどころでは無く、完全にクラウドベンダーになった」という印象を受けました。これまでコンピューティングのインフラであったWindowsへの拘りは捨て(たわけではないのでしょうけれど。。)、新たなコンピューティングインフラとしてのクラウドの戦略の基本に据えたということでしょう。AzureのVMでWindowsの他にLinuxをサポートするという決断を下した時点で、MicrosoftはOSベンダーでは無くなった、と言うことなのではないでしょうか。

ただ、単純にAmazonやGoogleの後を追う、ということでも無いのです。Microsoftの強みをきっちりと活かしながら、守るべき所は守り、捨てるべき所は捨てた末の戦略に思えます。そのひとつが、この記事にもあるように、パートナーとの関係強化です。

MSはクラウドエコシステムでGoogleとAWSの真逆を行く

AmazonやGoogleは言ってみれば「クラウドの申し子」です。クラウドと共に生まれ、成長してきました。申込はネットで、支払いはクレジットカードで、というビジネスモデルです。ただ、最近はパートナー開拓にも力を入れているようですから、記事にある「ダイレクトビジネスに向かうGoogleやAWS(Amazon Web Services)」というのは、少し違うかも知れません。

それに対し、Microsoftはオンプレミスが当たり前だった旧世代のIT企業です。パートナーとの関係を大切にしながら、世界の津々浦々に自社技術を行きわたらせてきました。既に多くのパートナーとつきあってきた実績がありますし、それを「強み」と捉えるならば、それを大事に伸ばしていくことが、Microsoftの進むべき方向なのでしょう。これは、AmazonやGoogleが持っていない「資産」なのです。

世の中には、様々な会社があります。IT担当者がWebで申し込み、VMを軽々と立ち上げてしまえるような会社ばかりではありません。クラウド利用の裾野を広げていく過程で、パートナーシステムが有効に働くことは間違いないのではないでしょうか。

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