【お知らせ】『3Dプリンターが創る未来』12月12日発売です。
今年も様々な技術が話題となりましたが、間違いなく「3Dプリンター」もそのひとつでしょう。ニュースにも毎日のように登場して、企業だけでなく一般の人々からも関心を集めています。ただ断片的な情報が大量に押し寄せる一方で、「そもそもどんな技術なのか」「どんなプレーヤーがいて、どんな製品やサービスを提供しているのか」「これからどんな展開が予想されるのか」といった全体像は、なかなかまとまった形で入ってきません。ということで、3Dプリンター/3Dプリンティングのいまを俯瞰できる、こんな本の翻訳に参加させていただきました。
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英ノッティンガム大学ビジネススクールの准教授、クリストファー・バーナット氏による『3Dプリンターが創る未来』(原題"3D Printing The Next Industrial Revolution")です。監修はケイズデザインラボ社長の原雄司さん。発売は12月12日の予定です。
バーナット氏は本書の中で、「3Dプリンティングについて断定的な口調で語る人々は、この技術がどのように機能し、どのような限界があるのかを理解していないことが多い」と述べています。3Dプリンターでバラ色の未来が来ると盲信する人も、単なる見かけ倒しと一蹴する人も、実はその実体を正しく把握していないことが多いのだ、と。本書ではそんな態度に陥ることを避けるために、3Dプリンティングの技術・関連製品とサービス・それを手がける企業・実際に3Dプリンター活用に取り組む個人と企業・環境問題への影響・バイオプリンティングなど今後の発展、という幅広いテーマについて俯瞰した上で、最後の第8章で「3Dプリンターが創る未来」について考察を行っています。
バーナット氏の描く未来予想には、恐らく賛否両論あるでしょう。しかし本書が優れているのは、予想の根拠となる事実についてすべて解説した上で、そこから議論を構築している点です。彼がなぜ第8章で示されているような考察に至ったのか、第1章から第7章までで示されている情報を読めば、ちゃんと分かるようになっています。そしてその情報から、自分なりの予想を組み立てることもできるでしょう。
あのスティーブ・ジョブズですら、2003年のインタビューにおいて、「アップルが携帯電話ビジネスで成功できるとは思わなかった」「タブレットは上手くいかないだろう」と発言しています(WIRED, "Steve Jobs’ 6 Sneakiest Statements")。まぁこれはライバルを欺くためのブラフだった可能性もあるわけですが、テクノロジーについて深い知識を有しているはずの人々が、未来について間違った予測を行うということは珍しくありません。それでは、3Dプリンターにはこれからどんな未来が待っているのか。新たな識者の意見を聞くためだけでなく、自分自身でも考えてみるための一冊として、本書を利用して頂ければと思います。