【お知らせ】『災害とソーシャルメディア』7月26日発売です。
この場を借りてお知らせです。7月26日、毎日コミュニケーションズから新しい本が出版されることになりました。今回のタイトルは『災害とソーシャルメディア』。名前の通り、災害時のソーシャルメディア活用について扱った本です。
災害とソーシャルメディア ~混乱、そして再生へと導く人々の「つながり」~ (マイコミ新書) 小林啓倫 毎日コミュニケーションズ 2011-07-26 売り上げランキング : 193228 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
3月11日に発生した東日本大震災の後から、様々な場面でソーシャルメディアが活用されてきたことはご存知の通り。震災直後に発生した「帰宅難民」への情報提供に始まり、安否情報の確認、ボランティアの支援など、例を挙げればきりがありません。その一方で、デマの拡散に代表されるように、様々な問題が表面化しているのも事実です。ソーシャルメディアはどのようなツールで、有効活用するためには何が必要なのか――東日本大震災に限らず、様々な災害・社会的混乱を事例として考察を行いました。
目次は以下の通りです:
- プロローグ――副知事を動かしたソーシャルメディア
- 第1章 ソーシャルメディアが可能にした災害時コミュニケーション
- 手書き新聞の活躍
- ソーシャルメディアとは何か
- ネットワーク型の情報網
- ハッシュタグ「#j_j_helpme」の活躍
- コラボレーション型の情報網
- 安否情報を伝えたソーシャルメディア
- 帰宅難民とツイッター
- ヨコ型の情報網
- 他のメディアとの補完関係
- 第2章 ソーシャルメディアを支援するもの
- 震災を伝えた瓦版
- インターネット利用状況の変化
- 携帯電話からのネット利用
- モバイル端末の進化
- ミクシィの震災時対応
- ウェブサービス運営者の貢献
- リアルタイムウェブ技術の登場
- 新たな文化と知識の定着
- 期待が現実を変える
- 重要度を増す「参加者」の存在
- 第3章 社会を動かすソーシャルメディア
- チュニジア・エジプトの「ソーシャルメディア革命」
- 「共感」が促す行動
- 「皆が行動している」という意識
- みんなが少しずつ
- コラボレーションによるチャリティー書籍の制作
- 現場に即応するネットワーク
- 「災害ユートピア」の支援
- 過剰な行動という問題
- 仙南中央病院をめぐる騒動
- 第4章 デマの問題と対策
- コスモ石油と有害物質の雨
- ローマ帝国時代から続く「災害とデマ」の歴史
- 意図的なデマの流布
- 偏見、期待、思い込みが生み出すデマ
- 勘違いによるデマ
- 転載時のミスや省略によるデマ
- 「曖昧さ」の解消がデマ対策の基本
- マスメディアの重要性
- 信頼感の問題
- 「同じ価値観を持っている」という姿勢
- 参加者の意識がデマを防ぐ
- 「コスモ石油と有害物質の雨」のその後
- 第5章 ソーシャルメディアの今後
- カゼの流行もツイッターで把握
- ソーシャルメディアのモニタリングが生み出す価値
- 「ソーシャルメディア捜査」の是非
- マスメディアとは異なる視点の提供
- 被災地におけるニーズの把握と支援
- 「癒やし」の提供
- ソーシャルメディア避難訓練という発想
- 求められる参加者の意識向上
- 最も小さく、最も大きな集団行動
- エピローグ――革命の後で
自分自身、「ソーシャルメディアの価値」というものに目が向きがちであり、また震災後の各種メディアでもソーシャルメディアを持ち上げる傾向が強かったと思います。しかしデマの例のように、マイナス面を正しく見極めて対処する姿勢がなければ、ソーシャルメディアをより社会にとって役立つツールに育てて行くことはできないでしょう。今後様々な議論が行われて行くことと思いますが、本書がその一助となれば幸いです。
また僅かではありますが、本書の印税はすべて、東日本大震災の復興支援活動に寄付したいと考えています。この本は僕が何かを生み出した結果というよりも、様々な災害を通じて得られた経験や知見を、僕の視点で整理したものに過ぎません。従ってその報酬は、被災された方々のために役立てられるべきだと感じた次第です。
さらに今回も、本書に関するFacebookページを立ち上げました。本書に関するお知らせ、取り上げた事例のフォロー、また新しい関連事例の紹介などを行っていければと考えておりますので、こちらもどうぞよろしくお願い致します: