【書評】『ネットで成功しているのは<やめない人たち>である』
いしたにまさきさん(@MASAKIISHITANI)から、著書『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』をご献本いただきました。ありがとうございます。これまた読み終えるのがすっかり遅くなってしまったのですが、簡単にご紹介と書評を少し。
いしたにまさきさんと言えば、ブログ「みたいもん!」を運営するブロガーである一方で、『クチコミの技術』や『ツイッター 140文字が世界を変える』などの著作があるライターとしても活躍されていますよね。で、そのいしたにさんの最新作が本書になります(と思ったら12月17日に『マキコミの技術』が出版されるそうですので、もはや近著になってしまいますが)。タイトルから察するに、ネットでの成功ノウハウを語っている本のようですが……カバーでは以下のように紹介文されています:
ネットでよく見かけるあの人、なんであんなことしているんだろう?どうやって食べているんだろう?……
そんなふうに見られていた人たちが、いつしか注目を集めアルファブロガーとなり、本を出版しマネタイズにもつながり、その人なりのかたちで「成功」を収めている……その秘訣はどこにある?
「ブログを続ける=ライフログを残す、という行為は未来の自分への投資なのだ」という確信のもと、著名ブロガー総勢110名への詳細なアンケート取材からその「集合知」を引き出すインサイドレポート。「ネットでうまくいっている人」の思考法を徹底分析。
ということで、本書の最大の特徴は110名のブロガー(だけでなく、ネットで活躍している様々な人々が対象になっています)にアンケートを取り、それを分析することで「ネットで成功している人々」は何を考え、感じているのかを浮き彫りにしているという点。アンケート回答者には、百式の田口さんや「情報考学」の橋本大也さん、「小鳥ピヨピヨ」のいちるさんなど、皆さんよくご存じの顔ぶれが並んでいます(ちなみに全員の回答内容も掲載されています)。これまで単発のインタビューで同じようなテーマを扱っていた記事はあっても、これ程の規模で分析を試みたのは『ネットで成功しているのは<やめない人たち>である』が初めてなのではないでしょうか。
僭越ながら、このアンケートには僕も回答させていただいております。自分では「ネットで成功」したなどと大それたことは思っていないのですが……それでもアンケートの対象にしていただいた立場で言わせてもらえば、本書で紹介されている考え方やアドバイスには「本当にその通りだよなぁ」と相づちを打ちたくなるような内容がいつくもありました。恐らく少しでもネットから得たものがある方であれば、本書の分析は的確であると感じるのではないでしょうか。
そもそも本書のタイトル『ネットで成功しているのは<やめない人たち>である』という一文には、個人的に強い共感を覚えます。本書を読んで、改めて「少しずつでもブログを続けてきたことで、どれほどの恩恵を得ているか」を考えてみたのですが、それが非常に大きなものであることを再認識させられました。その中には「いつか仕事で使おうと思っていたネタが思い出せず、ググってみたら自分の書いたブログ記事がヒットした」という程度の些細なものも多いのですが、これだって間接的とはいえ、ネットで成功することの範疇に含めることができるでしょう。積み重ねて誰でもアクセスできる状態にしておくこと(本書ではそれを「ログ」という言葉で表現しています)で、結果はどうであれ何かが生み出されるのがネットの世界。であれば、まさしく「継続は力なり」を信じて続けていくことが、ネットで成功する最大の秘訣なのではないでしょうか。
逆に言えば、本書に書かれているアドバイスは「ブログのアクセスを10倍に増やす」「ツイッターのフォロワーを1万人超にする」といった即物的なものではありません。それだけにネット上の主要サービスがブログからミニブログへ、そしてまだ見ぬ未来のサービスへと移り変わっていったとしても、変わらずに通用するアドバイスだと言えるでしょう。1年後と言わず10年後に読み返したとしても、うんうんと頷きなから読むことができる本だと思いますよ。
ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である いしたに まさき 技術評論社 2010-11-27 売り上げランキング : 294 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
インプレスさんから出版される『マキコミの技術』も気になるところですね。
マキコミの技術 コグレマサト いしたにまさき インプレスジャパン 2010-12-17 売り上げランキング : 8846 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
【○年前の今日の記事】
■ ロイター・メディア社長曰く、「我々はコンテンツだけでなくサービスを創造している」 (2009年12月13日)
■ 読んでから語ってみました。『読んでいない本について堂々と語る方法』 (2008年12月13日)
■ Asiajin への期待 (2007年12月13日)
■ 「キメぜりふ力」の磨き方 (2006年12月13日)