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「風船10個を見つけて、4万ドルをゲットしよう!」コンテスト、いよいよスタート

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※12月6日追記:DARPAの公式Twitterによれば、なんと既に10個の場所を特定したチームが現れたとのこと!優勝はMITの"Red Balloon Challenge Team"だそうです。詳しくはこちら

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各種メディアやブログで報じられたのでご存知の方も多いと思いますが、あのDARPA(米国防高等研究計画局)が「米国内のどこかに10個の赤い風船を設置するから、その場所を全て見つけた参加者に4万ドルの賞金を出すよ!」というコンテストを実施しています:

たった10個の赤い風船を見つけるだけで、400万円もらえます! (Polar Bear Blog)

インターネット誕生40周年を記念して開催されているこのコンテスト。当然ながら単なるエンターテイメントとして行われるわけではなく、ネットを通じてどのような共同作業が行われるのかを確認するというのが目的になっています。要は参加者たちがモルモットになると。

ちなみこちらが実際の「赤い風船」:

Balloon7

コンテストは既に始まっており(東部標準時間で14日午後12時が回答の提出期限)、続報が入ってきています。現時点の情報によれば:

  • 10個の風船は全て正常に掲げられた(風船は現地時間で12月5日のみにしか上げられないというルールなので、間もなく撤去されます)
  • 参加者は4,279名
  • これまでに寄せられた回答数は584件
  • これまでに回答を送ってきた参加者は168名
  • これまでに正しい位置を送ってきた回答数は213件

とのこと。「正しい回答数」が「10個すべてを正しく回答した」を1件としてカウントしているのか、それとも1個を1件としてカウントしているのかは分かりませんが、後者だとしてもかなりの速さで正答が導き出されているようですね。賞金は「最初に10個の正しい位置を回答した参加者(ただし誰も10個正解できなかった場合には最も正解数の多かった参加者、誰も5個以上正解できなかった場合にはノーコンテスト)」に与えられるというルールですから、優勝者がいったいどれくらいのスピードになるか注目です。

そしてもう1つの注目は、当然ながら「どんな戦略が使われるのか」。これについて、以下の記事で考察がなされています:

Looking for Balloons and Insights to Online Behavior (New York Times)
Spot 10 Balloons, Win $40,000 (WSJ)

ここで示唆されている話をまとめてみると:

  • とにかく人海戦術で、数の力をコーディネイトして情報収集する。
  • その派生系で、専用サイト専用 Wiki を立ち上げてウェブ上で情報をまとめる(リンクしたもの以外にも数々の関連サイトが設置されているようです)。
  • 情報をお金で買う(事前に行われたプレ実験では、実際に craigslist で情報が売買されたとのこと)。
  • ニセ風船を掲げたり、ニセ情報を流したりして情報戦に持ち込む(驚いたことに既にこんな情報戦が行われているようで、DARPA がこのイベント用の公式 Twitter アカウントで警告を発しています)。
  • 何らかのソフトウェアを開発して情報をマイニングする(マイニングのプログラムではありませんが、専用の iPhone アプリまで登場したことが ReadWriteWeb で紹介されています)

などといったところが出ていますね。ちなみに DARPA は戦略について制限を加えていないものの、結果が出た後で優勝者および参加者にインタビューを行うそうですから、何らかの考察結果を後で読むことができるかもしれません。

さて、皆さんだったらどのようして正しい情報を掴みますか?やはり最近の流行りで Twitter は外せないでしょうか?確かに Twitter 上にもかなりの量の情報が飛び交っていますが("DARPA"で検索をかけただけでもこんなに)、情報の信頼性という点が問題になりますよね。まさにその点が、今回の「実験」のポイントの1つのようで、関係者がこんなコメントをしています(上記のWSJの記事より):

Peter Lee, director of Darpa’s transformational convergence technology office, which focuses on tech and social trends, said that by giving participants an incentive, like the prize money, the contest tests how people organize themselves and how they validate information.

“Relatively little is known about how those networks respond when trust is a factor,” he said.

DARPA の Transformational Convergence Technology オフィス(テクノロジーと社会のトレンドを研究する部署)でディレクターを務めている Peter Lee は、「インセンティブ(今回のような賞金など)が与えられることで、人々はどのように組織を構成して情報の正誤を確認するのか、という点が今回のコンテストでテストされるだろう」と述べている。

「信頼性が問題になる場合に、そういったネットワークがどのように反応するのかについてはあまり知られていない」と彼は言う。

とのこと。これから Twitter 型のネットワークが、ニュースを伝達する重要なメディアになっていった時に、必ず問題になるのが「信頼性」という要素。今回のコンテストの中から、そこを乗り越える効果的な手段が確立されていく可能性もあるというわけですね。12月14日のコンテスト終了、そしてその後の考察が待ち望まれます。

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