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新型インフルエンザ、海外ニュースサイトの特設ページはどうなっているか

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「豚インフルエンザ」こと新型インフルエンザが問題になっています("豚"という単語が豚肉への不要な不安を煽るという批判がありますので、以後は「新型インフルエンザ」という呼称を使いたいと思います)。ちょうど僕が帰国する間際に話題になり始め、香港国際空港でのトランジットに長い時間がかかったり、成田空港でサーモグラフィとそれを取材するテレビカメラの2つのカメラに出迎えられたりと、個人的にも異様な状況を肌で感じてきました。現在は「パンデミック」と称される事態の一歩手前にあるようですが、これ以上の被害拡大がないことを祈ります。

さて、この問題に関する情報提供に貢献しようと、様々なウェブサービスで取り組みが始まっています。既にオルタナブログでもレポートされている方がいらっしゃいますが、eWeek にまとめ記事がアップされています:

大手Webサイト、豚インフル情報を提供 (ITmedia エンタープライズ)

Google はもとより、Twitter、Facebook など最近話題のウェブサービスで対応が行われているとのこと。今回の件に関しては、ネットを通じて偽情報やデマなどが広がることも懸念されていますが、こうした取り組みはネットの力を最大限に活用するものとなり得るでしょう。また過去の大事件・大事故でもそうだったように、お遊びとしか思われていなかったウェブサービスが、生活に欠かせないものとして認識されるきっかけにもなるのではないでしょうか。

一方、上記の記事では触れられていなかった大手ニュースサイト。彼らも通常のスタイルでの報道を行う一方で、各社趣向を凝らした特設ページを設けています。主要なものをリストアップしてみると:

  • Tracking Swine Flu Cases Worldwide (New York Times)
    * お馴染みのマルチメディアコンテンツ。各国の状況を地図で視覚化すると共に、これまでのニュース記事が時系列で追える構成。
  • Confirmed swine flu cases leap (CNN)
    * ニュース記事・映像、解説文、地図などのまとめををタブで切り替えて見ることができる。地図は Google Maps を使用しており、拡大・縮小が可能。
  • Swine flu infections around the world (MSNBC)
    * インタラクティブマップによる視覚化。米国については州毎の状況が分かる詳細版も。
  • Swine Flu (Reuters)
    * ロイターがこれまでに報じた新型インフルエンザ関連ニュースのまとめ。ページ最下部にインタラクティブマップも。
  • Swine flu (Guardian)
    * 関連記事をジャンル毎にまとめたページ。時系列でまとめた"Day by Day"や、地図による"Country by Country"なども。

などなど。正確な情報を伝えるのは当然のこととして、各社「伝え方」を工夫していることが分かります。特に伝染病の問題ということで、地図を使用して視覚化するところが多くなっているようですね。また時系列でまとめ、被害が拡大していく様子が掴めるように工夫しているところもあります。

紙や音声、映像によるニュースの時代から、情報の「伝え方」というものは工夫されてきました。そしてネットの時代になり、ウェブサイトを構築するテクノロジーが進化することによって、表現方法の可能性は一気に広がったといえるでしょう。これまでに無い発想で、新しい伝え方を積極的に模索していくことは、何も新興ウェブサービスにだけ任されているタスクではないと思います。残念ながら国内の主要ニュースサイトでは、元となった媒体(新聞紙面やテレビのニュース番組等)をそのまま転載したものが目立ちますが、ウェブならではの表現に挑戦することも必要なのではないでしょうか。

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