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常識という目隠し

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一部の方にはお伝えしていたのですが、妻が入院しています。手術は無事に終わり、いまは回復を待っている段階です。励ましの声をかけていただいた方々、本当にありがとうございました。

その関係で、先週木曜日から昨日まで病院に寝泊まりしていたのですが、ちょっと気になることがありました。術後の処置を病室で行うとのことで、待合いスペースで終わるのを待っていた時のこと。どうも乳幼児の定期検診が行われる日だったらしく、検査が済んだ赤ちゃんとその母親・父親たちが次々にやってきて、僕が座っているとなりで看護婦さんから育児アドバイスを受けていました。で、何気なく会話を聞いていたのですが、こんなやりとりが:

看護婦さん 「お子さんは始めて?」

お母さん 「いえ、二人目です」

看護婦さん 「じゃあ、以前は離乳を始める際に果汁を与えて下さいって言われてたと思いますけど。与えなくてもいいってことになりましたので、もう気にしないで下さい」

えぇ?確かうちの娘の時も、「離乳前に果汁」的なアドバイスを受けていたような気がするのですが。さらにその後も「一人目の時はこう言われてたと思いますけど、今は……」という話が続き、常識だと思っていたものがあっさり否定されていることに驚いてしまいました。

調べてみると、どうも2007年3月に厚労省の離乳ガイドラインが改訂されたようです:

何が変わった?新しい離乳のガイドライン (All About)

ご興味がある方はチェックしていただきたいのですが、結構変化しています。僕らの時代と、僕らの母親の時代で「育児の常識」が変っているという話はよく耳にしますが、こんなに短期間で変ってしまうなんて。

しかし、常識なんてそんなものなのかもしれません。そもそも厚労省のガイドラインだって、あくまでも「ガイドライン」ですし、「実際に目の前にいる赤ちゃんがどんな反応を示しているか」が何よりも優先される情報のはずです。ところが「皆がこうしてますよ」「これくらいのペースでやってますよ」と言われると、とたんにそれを守らなくてはいけないような気がしてしまう。上記の All About の記事にも

今までは「離乳初期」「中期」「後期」「完了期」という区分がありました。これに縛られて「さぁ、今日から生後○ヶ月だから○○期ね」と考えるお母さんも多かったのでは?

という指摘がありましたが(ちなみにこの「離乳○○期」という表記も無くなったとのこと)、まさにこんな気持ちになってしまったお母さん、お父さんは多かったのではないでしょうか。

もちろん常識は過去の経験の積み重ねですし、全てが間違っているわけではありません。しかしそれはエッセンスを抽出したものであって、あらゆる状況に当てはまるアドバイスを与えてくれるものでもありません。常識が目隠しになってしまい、目の前の状況が見えなくなってしまってしまっては本末転倒でしょう。「この常識だって、2~3年後には否定されているかもしれない」という意識を持っていることが必要だなぁと感じた次第です。

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