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マイナス思考な炊飯器

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マイナス思考。いけませんね、特にこの不景気な世の中では。もっとポジティブにいきましょう、ポジティブに!……と言いたいところですが、時にはマイナス思考がこんな結果を生むという話:

蒸気を出さない炊飯器が登場 (ITmedia +D)

三菱電機が発表した炊飯器「蒸気レスIH」について。実は昨年12月に発表されていたものですが、昨日の日経産業新聞で特集が組まれているのを読んで知りました。蒸気が出て当然、の炊飯器から蒸気をマイナスしてしまおうというのですから、かなりのマイナス思考です。その意外性がウケたのか、店頭想定価格は8万円前後と高価格帯に位置する製品ながら、発表以降問い合わせが相次いでいるとのこと。

なぜ炊飯器から蒸気を取ってしまおうと考えたのか――日経産業の記事によれば、実はこのアイデアは10年ほど前から温められていたとのこと。消費者調査で「蒸気が出ること」に対する不満が根強く、「蒸気で壁や棚が変色する」「子供が手をかざすと危険」などといった意見が寄せられていたのだそうです。ところがこれまで炊飯器の競争点になっていたのは「炊きあがりのおいしさ」。そのため、必要性が認識されながらも具体化には至らなかった、と。

しかし、競争は必ず飽和に達します。正直言って、ある程度のおいしさに到達してしまえば、9を10にするために数万円上乗せしても良いと考える消費者は減るでしょう。また「おいしさ」という特徴は、実際に食べてもらわなければ体験できません(実は僕も、某社の高級炊飯器で炊いたご飯を食べよう!というイベントに参加したことがあります)。そこでこの「蒸気レス」という新しい軸を持ち出すことで、新しく、そして分かりやすい優位性が生まれるわけですね。

また蒸気レスにすることによって、「どこでも置ける」という新しい利点が生まれます。例えばこれは、三菱電機の公式ページで掲げられているイメージ画像:

IH

こんな風に、リビングに近い位置に置いても使えると。それを想定し、どこに置いても恥ずかしくないようなデザインにすることにも注意が払われているとのこと。あまり「カッコイイ炊飯器」というのも見かけませんから、この点でも目新しさを感じてもらえるかもしれません。

ということで、「~なんだから○○があって当然」という発想を捨ててみると、こんな新しい世界が広がるかもしれないという例でした。たまにはこんなマイナス思考を試してみても面白いですね。

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