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「落語収録済みICレコーダー」登場

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新しい記録媒体にコンテンツをプリインストールして売る、という話が最近いろいろ出てきていますが(昨日もUSBメモリ版ジーニアス英和/和英辞典発売なんてニュースがありましたし)、これはちょっと面白いかも。落語や漫才など、33席があらかじめ収録されたICレコーダーが発売されたそうです:

オリンパスのWMAボイスレコーダに落語など33作を収録-Voice-Trek G-20にプリインストール。直販39,800円 (AV Watch)

オリンパスの関係会社であるラジオカフェが、古典/新作落語など33席のデータをオリンパスのボイスレコーダ「Voice-Trek G-20」にプリインストールして発売する、というニュース。2GBのメモリに約1GBの音声ファイルが収められており、約18時間24分のコンテンツになるそうです。

実はこの G-20、以前も歴史教科書の朗読が収録されたバージョンが発売されていたとのこと:

教科書と落語、まったくターゲットが異なるコンテンツですが、面白い発想ですね。なぜこれらのコンテンツが選ばれたのか、歴史教科書バージョンの売上がどれくらいだったのか、詳細を聞いてみたい気がします。

そういえば以前、イギリスでポータブルCDプレーヤーが再び人気となっている、というニュースを紹介したことがありました:

ポータブルCDプレーヤーが再び人気、の必然

値段が安くなったことに加え、MP3プレーヤーより相対的に使いやすいことが再評価につながっている、という話でした。これを聞いて「いっそのこと音楽データをプリインストールしたMP3プレーヤーを販売しては?」と考えたのですが、今回の「落語収録済ICレコーダー」はそれに近い話になっていくかもしれません。もちろんICレコーダーはMP3プレーヤーとイコールではなく、ボタンも多く複雑な操作が要求されますが、これまで「音楽(もしくは音声コンテンツ)をデータで持ち歩く」という体験をしたことがなかった世代に、その体験を手軽に提供していくものとなると思います。

とはいえ価格は3万円を超えていますから、購入を検討する人はICレコーダーとしての使い方を主に考えているのであって、落語データはあくまでもオマケ的なものでしょう。これを例えば、使い捨てに近い位置付けにしてしまい、「MP3プレーヤー本体+音楽CD1枚分程度のコンテンツ」で3,000円前後ぐらい+コンビニ等で購入可能という風にしたら、もっと「プリインストールされているコンテンツを楽しむ」という使い方に重点が置かれるようになっていくかもしれません。もちろんいまの若者が中年になるころには、MP3プレーヤーの取り扱いなど誰もが熟練しているようになり、さらにはどこにいても無線でコンテンツをダウンロードできるようになるのでしょうが……過渡期のコンテンツの売り方としては、こんなものも面白いのではないかと思います。

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