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水着だけが生んだ記録、ではない

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多くの世界新記録が生まれた、北京オリンピックの競泳種目。日本勢でも北島康介選手が平泳ぎ100mで世界新を出したのはご存知の通りですが、それは「例の水着」だけが原因だったのでしょうか?

いや、レーザー・レーサーだけを誉めるのはおかしい、北島選手が着ていたTシャツに「泳ぐのは僕だ」と書かれていたように、選手の努力だって一因のはずだ――というのも正しい答えだと思うのですが、今週火曜日(8月19日)の朝日新聞「ニュースがわからん!」コーナーに、こんなことが書かれていました:

コブク郎 北京五輪の競泳では、たくさんの世界新記録が出たね。

A 男女計32種目のうち、21種目で25個も出た。世界新の数は風の影響などで記録が出づらい屋外プールでの競技だったアテネ五輪(8種目8個)の3倍以上、同じ屋内だったシドニー五輪(13種目13個)の2倍近くに増えた。

(中略)

 会場の国家水泳センター(愛称・水立方)の評判はどうだったの。

A 水深が深いため波が立ちにくく、「高速プール」と言われている。記録が出やすいとされる東京辰巳国際水泳場でも水深2メートルなのに対し、水立方は3メートル。中国の水は日本より硬度が高く、「水がうまく引っかかる感覚がした」と話す日本選手もいた。

とのこと。ここに書かれていることが正しいとすれば、水着以外に

  • プールが屋内にあった(風がないので泳ぎやすい)
  • プールの水深が深かった(波が立たないので泳ぎやすい)
  • 水の硬度が高かった(水が引っかかって泳ぎやすい)

の3つの要因があったことが分かります。もしかしたら、競泳に詳しい方であれば当然の話なのかもしれませんが、僕にはまったくの初耳でした。いやもう、「やっぱレーザー・レーサーすげえなぁ」と単純に感心していただけで。

もちろん北京以前から、「レーザー・レーサーを着た選手が新記録を出す」ということが起きていましたから、これらの要因の中で最も重要だったのは水着なのでしょう。しかし水着に過剰な注目が集まり、プールの深さや水の硬度など、記録を出しやすくする他の要因から目がそれてしまっているのではないか、と感じます。仮にレーザー・レーサー騒動が無かったら、そしてそれでも前回(アテネ大会の8種目8個)を上回る世界新記録が出ていたら、「記録ラッシュで大会を盛り上げるために、中国政府がわざと『高速プール』を会場に指定したのではないか?」といった論調が出ていたのでは――というのは邪推でしょうか。

いずれにせよ、「この素晴らしい結果をもたらしたのは○○だ!」と確信を持って言われている時ほど、別の要因にも目を向けなければいけないのだと感じた次第です。考えてみれば当たり前の話なのですが、意外に何かを過剰評価・過小評価してしまっているケースは多いのでしょうね。

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