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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

アルバムを捨てる日

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いまや銀板カメラの方が珍しい時代。だからといってフィルムにノスタルジーを感じるほどではないのですが、困るのは古い写真の保管方法。デジタル画像なら「DVDに焼くか、ネットのストレージに突っ込む」でハイ終わりなのですが、フィルムの写真だと(物理的な)アルバム+ネガを注意して保存しなければなりません。十分に注意しているつもりでも、久しぶりに見てみたら変色していた!なんてことがあったりして。

となると当然出てくるのが、「古い写真をスキャンしてデジタル化しますよ」というビジネス。もちろんスキャナさえあれば、個人でも自宅でデジタル化に取り組めますが、そのためだけに高画質・高速なスキャナを買うというのもバカバカしいでしょう。ならば専門の業者に頼んでしまえば、ということで、徐々にデジタル化サービスの知名度と人気が上がってきているようです。米国では、かなり格安な業者も登場しているとのこと:

Your Photos, Off the Shelf at Last (New York Times)

ScanMyPhotos.com というサービスが紹介されているのですが、ここではなんと、写真1枚あたり5セントという低価格が設定されています(デジタル化された写真はDVDに焼いて返送される)。アルバム1冊に100枚の写真が保存されていたとしても、500円程度にしかなりません。うーん、実家にあるアルバムを片っ端からデジタル化してみたいなぁ。

なぜこんな低価格が実現できるのか、記事では3つ理由が挙げられているのですが、

  1. コダック社製の高性能スキャナを使用し、1分間に数百枚もの写真を処理できる。
  2. アルバムをそのまま送るのはNGで、全て整理して箱に入れ「後はスキャナに投入するだけ」という状態にして送らなければならない。つまり利用者に作業の一部を肩代わりしてもらっている。
  3. 関連サービス(破損した写真の復元など)が用意されており、そちらでも儲けるビジネスモデル。

であるとのこと。2と3の要素は最近のウェブサービスにも通ずるものがあるので、理解しやすいですね。この因数分解を見直せば、例えば「お金はあるけど時間はない」という人のために、「業者が自宅まで引き取りに出向く->アルバムから写真を取る/スキャン後にアルバムを元の状態に戻す」というハイエンド型サービスも考えられそう。あるいは「スキャナに投入可能な状態で送れば、無料でデジタル化する。ただし写真はオンライン上に保管され、見たければ広告付きの画面にアクセスする」といった Google 的な業者も現れるかも。

というわけで、今後様々なサービスが登場して「アルバムを捨てる日」を経験する人が増えるのかもしれません。しかしちょっと気になるのは、記事の中で「キレイに作られたアルバムから写真を取るというのは胸が痛む行為だった」という一節があったこと。確かに誰かが一生懸命まとめてくれたアルバムを見るというのは、何とも言えないノスタルジーに浸れるものですよね。意外に「そろそろウチも古い写真をデジタル化するか」という人が増えれば増えるほど、昔ながらの「アルバムに貼る」という行為が見直されるのではないかと思います。

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