実家の母親に Google マップ ストリートビューを見せてみた。
いよいよ日本でも始まった、Google マップの Street View (ストリートビュー)機能。プライバシー問題に関して、さっそく賛否両論が出ているようです:
■ 知らない町でも360度の散歩気分──Googleマップ「ストリートビュー」 プライバシー対策は (ITmedia News)
ご覧のように、街角の風景を360度閲覧できるという画期的な機能。日本ではまだ東京・大阪など一部都市に限定されていますが、かなり細い路地にまでカメラが入っており、「プライバシー侵害にあたるのではないか」という声が出ています。またネット上では早速、お宝画像(?)探しも始まっており、実際に「路上でいちゃつくカップル」などが見つかっているようですね。
僕も公開後すぐにチェックしてみましたが、現在の自宅と愛車がハッキリと写っていて、うわっ大丈夫かな?という思いが心に浮かびました。しかしそれは一瞬のことで、すぐに「あの辺はどうだろう?」「そういえばこっちはどうかな?」などという好奇心で頭がいっぱいになり、あとはバーチャル散歩に没頭。以前から米国の Google Maps Street View を使って、アメリカに住んでいた頃の思い出の地を振り返っていたこともあり、この機能の問題点よりも価値の方を強く感じています。
で、たまたま実家に帰る機会があったので、母親(年齢は息子が35歳だという点からご推察下さい)にストリートビューで自宅近くを見せてみました。すると即座に返ってきたのが、
「うわっ、気持ち悪い。泥棒とかに使われたらどうすんの?怖いんじゃない?」
という答え。いやいやお母さん、これって面白いじゃん!と反論しようと思ってやめました。母親の世代にしてみれば、これが普通の感覚であり、それはロジックで変えることなどできないものだ――と感じたからです。
世代で区切ってしまうのも乱暴ですが、僕らの世代、特にネットやITに関わっている人々は、ネット上に(プライバシーも含めた)様々な情報が載っていることに慣れてしまっているのではないでしょうか。確かにストリートビューの画像はプライバシーの領域に片足を突っ込んでいそうな気がするけど、既に無数の情報を自由に手に出来るようになっているんだし、自分に問題が起きる可能性は少ない――自分自身の思いを分析してみるとこんな感じです。ネットというものの存在は知っていても、生活上で触れる機会がほとんどない人がストリートビューを見たらどう感じるか。「ここまで公開しちゃって問題はないの?」と思う方が普通でしょう。
そのどちらが良い・悪い、あるいは正しい・間違っていると断定するつもりはありません。強いて言えば、「どちらも正しい」というのが僕の意見です。しかし新しいテクノロジーやサービスを世に広めようとする人々は、それに慣れ親しんでいない人々の理不尽な反応、しかし彼らにとってみれば至極まっとうな反応に配慮しなければいけないのではないでしょうか。個人的にはストリートビューの対象範囲がもっと広がって欲しいと願っていますが、それによって不要な感情的対立が起きるならば、ペースダウンしても人々の理解を広める方を優先して欲しいと思います。