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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

たまには、丸かじりを。

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「大きすぎて食べられない(処理できない)仕事は、食べやすい(処理しやすい)ように小さく分割すべし」というアドバイス、耳にしたことがある方は多いと思います。これは本当に実用的なアプローチなのですが、一方 Harvard Business Review の最新号(July-August 2008)・"From the Editor"コーナーで、同誌編集者の Thomas Stewart 氏がこんなことを書かれています:

Big ideas come from tackling big problems. When one is confronted with an overwhelming task, it's natural to try to break it down into manageable pieces. Business jargon is full of phrases about that, like "pilot projects" and "low-hanging fruit."  They have their place, but in the repertory of management practice, they should share their place with bold approaches to big challenges. Much of today's most valuable management knowledge came from wrestling with such issues.

大きなアイデアは、大きな問題に取り組むことから生まれる。自分の能力を超えた課題に直面した場合、それを小さくてコントロールができる単位にブレークダウンしようとするのは自然な行為だ。ビジネスの専門用語でも、「パイロットプロジェクト」「低いところになっている果物(達成しやすい目標)」などといった言葉を数多く見ることができる。それは事実なのだが、経営の現場では、チャレンジに対して大胆なアプローチを行うことも必要だ。価値のある経営知識の多くは、そういった問題に取り組むことから得られたものである。

小さな課題に取り組んでいては、ありきたりの答えしか出てこない。本当に革新的なアイデアを生むためには、無理難題に果敢に挑戦すべきだ――という主張ですね。確かに「コスト削減で1万円を目標にするより、1,000万円を目標にした方が革新的なアイデアが出てくる」などと言われることも多いですし、あえて大きい目標にチャレンジすることも時には必要なのでしょう。

ある課題に対し、それをブレークダウンして片っ端から片付けていくのか、それとも大きなままで飲み込んでしまう方法を考えるのか。どちらが正しいというわけではなく、時と場合に応じてどちらかを採用する、あるいはどちらかを採用しつつももう一方を心の片隅に留めておく、ということが必要なのでしょうね。

しかしどちらかというと、普通は「小さくブレークダウンする」という姿勢で臨もうとすることが多いのではないでしょうか。特に会社の中で働いていると、なかなかビッグバン型のアプローチを採用するというのは難しいですよね(予算的にも、組織的にも、そして精神的にも)。その意味で、「たまには丸かじりしてみる/丸かじりしたらどうなるか想像してみる」という意識の方を強く持っておいても良いかもしれません。

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