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「この場所に来た人は、こんな場所にも行っています」

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先日「職場と家庭で70%を費やす現代人」というエントリを書きましたが、米国でも携帯電話の位置情報(基地局情報やGPSデータなど)を分析・活用しようという動きが本格化しているとのこと。その中で、「この場所に来た人は、こんな場所にも行っています」のようなレコメンデーション・サービスを行おうとしている会社があるそうです:

Predicting Where You’ll Go and What You’ll Like (New York Times)

「職場と家庭で~」のエントリでも紹介した、ノースイースタン大学の研究なども紹介されていますが、面白いのは Sense Networks という企業が開発したサービス。実はこの会社、以前 ITmedia の記事でも紹介されていますので、詳しくはこちらをご覧下さい:

携帯でリアルタイムの人気集中スポットが分かるアプリ登場 (ITmedia News)

要は無数の携帯電話から位置情報を集め、分析して得られたナレッジを企業向け(Macrosense)・消費者向け(Citysense)のサービスに加工して提供するというビジネス。実はこうした分析を行うには「個人の位置情報を同意無しで得てはならない」という法律上の制約があり、その対策として Citysense が開発されたことが New York Times の記事で解説されています:

Instead, Sense decided to trade services for data. On the same day it released Macrosense, it announced a new software package called Citysense, which uses location data to show where people are going, say, for nightlife, and maps their activity. Consumers who have iPhones or BlackBerrys can sign up for the service, which does not ask for personal information. Over time, the software will learn their patterns and recommend places they might like to go, or show them where other people with similar patterns are going. If they want to purge their data, they can do so at any time.

一方、Sense 社はデータとサービスを交換することにした。Macrosense の発表と同時に、同社は Citysense と呼ばれるパッケージも発表したが、これは例えば夜遊びなどの場面で、人々がどこに行っているのか・何をしているのかを示すためにロケーションデータを活用するものである。iPhone やブラックベリーを持っている消費者は、個人情報の登録なしでサービスにサインアップすることができる。時間の経過とともにソフトがユーザーの行動パターンを学習して、どこに行くべきかをレコメンデーションしたり、同じ行動パターンのユーザーが他にどこに行っているかを示してくれたりするようになる。またデータを消したければ、いつでも消すことが可能。

ということで、ユーザーにとって価値のある情報を提供する代わりに、彼らの位置情報を提供してもらう、と。参加者が多ければ多いほどレコメンデーションも正確になって、より「自分も参加したい」という人が増えるでしょうから、早期に参加者数をある程度まで増やせるかどうかがカギになりそうです。

GPS付きケータイや情報端末がより一般化すれば、そして自分の位置情報を提供することに抵抗を感じない人が増えれば、こうした「場所レコメンデーション・サービス」というものが他にも登場してくるのでしょうね。単なる位置情報だけでなく、性別や年齢層といった情報も加味できるようになれば、より推薦の精度も上がっていくでしょう(さらにカーナビなどへの展開も可能かも)。プライバシー侵害の懸念は残りつつも、この分野が急速に発展する可能性は高いのではないでしょうか。

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