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美化運動、2つのアプローチ

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公共の場を清潔に保つには、どうすれば良いか。たまたま2つの異なるアプローチを知る機会があったので、ご紹介したいと思います。

まずはオリンピック開催を控えた、中国の事例:

ガンバレ!公衆トイレ管理者、最高150万円の褒賞金―陝西省西安市 (ネタりか)

中国の西安市ですべての公衆トイレが24時間無料開放されることになり、同時に評価要員を配置・公衆トイレに対して検査評価を実施していく、とのこと。優秀と評価された公衆トイレについては最高10万元(約150万円)の褒賞金が用意される一方、評価の低いトイレは管理者の名前と共に公表されるそうです。

この方法は「アメとムチ」といったところで、ある意味おなじみの手法と言ってもよいでしょう。一方、ちょっと変わったアプローチを取ったのがこちら:

小谷育弘 頭は使いよう。『パリの護美』は大きな国益 (武蔵野美術大学 芸術文化学科 - Arts Policy and Management)

パリで1979年から始まった、「Proprete de Paris」(パリをきれいに)という運動について。こちらは一言で言ってしまえば、発想の転換。街の清掃作業をカッコイイものにしてしまい、市民の意識を高めると共に、やってきた観光客に「パリはオシャレだなぁ」というイメージを定着させようというものです。

paris

例えば上の写真(上記の記事から転載したものです)。"Proprete de Paris"のメッセージとロゴマーク、緑に統一されたユニフォームと、スマートなデザインの作業用具、そして若くて美しい女性(!)。すべてこの運動によってもたらされたものとのこと。そういえば以前パリを訪れたとき、美しい女性が清掃作業をしているのを見て「なんでこんな仕事を!?」と思ってしまったのですが(スミマセン)、こんな狙いがあったのですね。

さてさて、「アメとムチ」と「発想の転換」。どちらが優れているか、は一概には言えないでしょう。例えば即効性という点では西安の方が上ですし、コストの面からも西安方式の方が安上がり(評価要員の人件費と報奨金だけで済む)です。しかし長い目で見た場合、街の美化が定着するのはパリ方式の方ではないでしょうか。「アメとムチ」方式では、いつまでたっても「清掃作業=つらいもの、お金を払ってもらえるから/名前が晒されるのは嫌だからやるもの」という意識のままでしょう。

パリの発想は、環境美化以外の分野にも応用することができるのではないでしょうか。「アメとムチ」方式を続けているが、何年続けても問題が解決しない――という場合には、パリのアプローチに学べるものが大きいのではないかと思います。

Comment(2)

コメント

僕は以前造園会社にいまして、街路樹管理と称して街中のゴミ拾いなんかもやってました。そこもちょうど同じコンセプトで、若い女の子を集めて、管理業務やってたんです。

しかし、同僚の若い女の子達は、通りがかりの人に酷いこと言われてましたよ。
「ああいう風になっちゃおしまいだね」とか。

そういう無神経なことを言う連中は若い連中が多かったです。むしろ年配の方の方が、実作業の大変さを知っているので同情的だったかな。

「格好良く思わせる」という発想はいいですけど、一朝一夕では、うまくいかないんじゃないかと思ったり。そういう意味では、中高生のボランティア体験で、経験を積んでもらうのも大事なんだろうな、と。

アキヒト

ひとぴんさん、コメントありがとうございます。

> しかし、同僚の若い女の子達は、通りがかりの人に酷いこと言われてましたよ。
> 「ああいう風になっちゃおしまいだね」とか。

ああ、そういう反応も起きてしまうのですね。仰る通り、なかなか一朝一夕には人の意識は変わらないのかもしれません。パリの取り組みも1979年から始まっているわけですし、当初はネガティブな反応もあったのでしょう。即効性のある「アメとムチ」を使いつつ、地道に意識を高める……というのが最善の方法、なのかも。

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