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「真面目な人」への職場いじめほど見つけにくい?

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相変わらず学校での「いじめ」が問題になっていますが、職場いじめも同様に問題となっています。ITmedia でも、過去にこんな記事がありました:

ストレスと上手に付き合うための心の健康:第19回 職場でいじめない、いじめられないために (ITmedia Biz.ID)

記事の中で厚生労働省の調査が紹介されていますが、総合労働相談コーナーに寄せられた相談の中で、民事上の個別労働紛争に関するものは17万6429件。そのうち8.9%が「いじめ・嫌がらせ」に関する相談だったとのことで、割合は低いものの第4位の内容となっています。しかも17.6万件の約9%といったら、約1.6万件ですよね。これだけでも相当な数と言えるでしょう。

実は昨日、こんな調査結果が出ているのを見つけました:

Workplace Woe: Are Abusive Bosses Or Inferior Employees To Blame? (ScienceDaily)

職場でのいじめを報告した人々に、どんな傾向が見られるのか調査した結果について。フロリダ州立大学の調査ですが、気になる結果が出ています:

  • いじめを報告した人の30%が仕事を遅らせたり、わざとミスを犯したりしていたが、報告しなかった人の中で同じ行動をしていたのは6%に過ぎなかった。
  • 同様に、仮病で休んだ人の割合は報告した人で29%、報告しなかった人で4%だった。
  • 同様に、休憩時間を決められているより長く・多く取っていた人の割合は報告した人で25%、報告しなかった人で7%だった。
  • 問題を積極的に解決しようという姿勢を持っていた人の割合は、いじめを報告しなかった人の方が報告した人よりも3倍大きかった。

ということで、報告する人は何らかのサボタージュ行動を取っていたとのこと。「いつサボっていたか」というデータがないので、「そんな態度だからいじめられるのだ」と因果関係を逆転して考えることもできますが、いずれにしても真面目に仕事する人ほどいじめに合っても報告をしていないという傾向が出ています。

もちろんどんな人に対するいじめでも、許されるものではありません。ただ会社にしてみれば、真面目で仕事に取り組む人ほど助けたいという心境でしょう。ところがこの調査結果では、自己申告制度では真面目な人々に対するいじめを防げない、ということになります。さらに「今までキチンと勤務していたのに、急にサボるようになった」というような行動の変化でいじめを察知するのも不可能、ということですから、もっと違った形での発見・防止策が必要というわけですね。

「大人なんだから、誰かに相談するなり、自分で対処できるはずだ」――職場いじめに対しては、このような姿勢が少なからずあると思います。しかし大人だって、いじめという犯罪に対抗するのは非常に困難です。企業はより真剣にこの問題に取り組む必要があるのではないでしょうか。

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