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ケータイは2.0になれるのか?

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WEB2.0 に端を発した「2.0」の波は、オフィス2.0、エンタープライズ2.0と、様々な分野に波及しています。中でも最近、一番目立っている「2.0」と言えばコレではないでしょうか:

DoCoMo 2.0

そう、「反撃してもいいですか?」という挑戦的なフレーズと共に打ち出された、ドコモの新しい広告キャンペーンです。この「ドコモ2.0」に関して、今日の ITmedia でインタビュー記事が掲載されていました:

石川・神尾の「モバイル業界の向かう先」:第1回 NTTドコモ 辻村清行氏──「ドコモ2.0」に込めた本当の意味 (ITmedia +D モバイル)

なるほど、映像・Felica・国際化など、様々な新機能が加わることを総称して「2.0」を付けたのですね。これはさぞかし話題になるだろう……と思いきや、人々の反応は期待に反しているようです:

ドコモ2・0:巻き返しに新戦略 「わかりにくい」の声も (MSN毎日インタラクティブ)

残念ながら「2.0と言われても、何のことか分からない」という声が大きいとのこと。さらに新機能にフォーカスするのではなく、人気芸能人8人(集め過ぎ!?)にフォーカスしたCMも、分かりづらさに拍車をかけているようです。またネット上では「ドコモ2.0」を「ドコモにいてんぜろ(ドコモに移転ゼロ)」と読み、「ナンバーポータビリティ導入で一人負けしている状況を表しているのだ」などと揶揄する声も聞かれます。これまでのところ、新キャンペーンは狙い通りの効果を上げていないと言えるでしょう。

パッと見ると、ドコモの失敗は「新機能を上手く説明していないこと」にあるように思われます。「2in1」「直感ゲーム」など、従来にはなかった機能が既に実現されているのですから、それが正しく理解されれば「ドコモ2.0」も浸透するはずだ -- と言えるかもしれません。しかし、機能追加だけで「2.0」は達成されるのでしょうか?例えば上記のような「映像・Felica・国際化」が達成されれば、誰もが「ドコモは2.0になった!」と賞賛するのでしょうか。

WEB2.0は2つの要素から構成されています。つまりAJAX等に代表される新技術・新機能の側面と、「誰もがネットに参加する」といった新しい文化・価値観の側面です。同様に、ドコモ -- というより携帯電話全体 -- が2.0になるには、機能だけでなく新しい文化を提供しなければいけないのではないでしょうか。であれば、僕は「らくらくホン」の方がずっと2.0に相応しいと思います。必要な機能に限定することで、お年寄りもケータイに参加するという「以前にはなかった文化」を実現しているのですから。

新機能を歓迎する人々が存在する一方で、「たくさん機能があっても使いこなせない」「それより料金が安いのが一番」と考える人々がいるのも事実。機能の進化・追加を追うだけでは、2.0を実現するのは難しいでしょう。各キャリアには新しい文化や価値を追求して欲しいと思うのですが…… Apple が iPhone を打ち出したように、ケータイ業界の外にいる企業・人々に期待した方が良いかもしれませんね。


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Docomo 2.0簡単ケータイ

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