仕事とフラメンコ
ゴールデンウィーク真っ盛りですね。僕は昨日からお休みをいただいているのですが、結局仕事が入り、数時間ですがPCの前に向かうことに。しかしモバイル環境のおかげで、オフィスには行かずに済ますことができました。「いつでも、どこでも仕事ができる」イコール「いつでも、どこでも仕事しなくちゃならない」なわけですが、昨日に限ってはモバイルさまさまと言ったところです。
実際のところ、僕の仕事のほとんどはオフィス外で済ますことができます。業務に必要なアプリケーションはWEBを通じて提供されていますし、逆に僕が提供しなければならないのはアイデアなので、これもWEBを通じてやり取りすることができます。「面と向かってのコミュニケーションの方が効率的」「データ通信にはカネがかかる」などの制約はあるものの、仕事の中身自体は「僕がどこにいるか」には全く影響を受けません。仮に僕が沖縄に住んでいたとしても、今日の作業にはまったく問題なかったでしょう(西表島でマヤグスクの滝を見に行くなどという冒険でもしていない限り)。
話は変わって、以前のエントリでもお話しした音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が今日から始まりました。5月6日(日)まで、実に約300公演にも及ぶコンサートが行われるというイベントです。僕もさっそく、午後10時45分から行われた「フラメンコ・リサイタル」を観に行ってきたのですが(それが会社に行かず自宅で仕事を済ませた理由の1つ)、アントニア・コントレラスさんの歌声のパワーに圧倒されてしまいました。日本にいながらにして本場スペインのフラメンコを体験できるとは、まったく良い時代になったものです。
前述の通り、どこにいても仕事ができるインフラが整い、どこにいてもできる職業が増加しつつあります。「労働」という観点から見れば、東京に住む必要性は薄れつつあると言えるでしょう。しかし「余暇」や「趣味」といった側面から見ると、東京の価値はますます高まっていると言えるのではないでしょうか。ラ・フォル・ジュルネのようなイベントを楽しみたいと思えば、やっぱり東京近郊に住む必要があります(ちなみにコンサートはアンコールが行われた関係で、帰りが終電ギリギリになってしまいました)。また東京ミッドタウンや新丸の内ビルなど、新スポット登場の話題には事欠きません。実際、今年のゴールデンウィークは例外的に都心人口が減っていないそうです。
政府や研究所などが描く未来予想図には、「ITC技術の発展により自宅で仕事ができるようになり、人々は郊外に住んで通勤地獄から解放される」という場面がよく登場します。確かにその可能性はあると思うのですが、逆に「エンターテイメントが集中した東京に住みたいと思う人はますます増え、人々は世界各地から舞い込む仕事をモバイルでこなしつつ、人気スポットの行列に並ぶ」という可能性もあるのかも……そんな将来を、終電間際にもかかわらず満員の中央線に揺られながら空想してみました。