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イヌとキリンが棲む場所は

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セブン&アイホールディングスの電子マネー「nanaco」が登場しました。27日にはイオンが「WAON」を発表する予定で、小売業の2強が電子マネーでも激突することになります。さっそく ITmedia でも、こんな記事が出ていました:

nanacoとWAON、どっちを使いたい!? マクロミルが調査 (ITmedia Biz.ID)

nanaco と WAON の認知度・利用意向について、マクロミルが調査した結果を解説した記事。それによると、nanako を「知っている」のは回答者の34.8%、WAON が21.3%とのこと。また「既に入会登録を行った」「やや利用したい」との回答は nanaco が55.2%、WAON が43.3%で、両者ともに認知してもらうのはこれからといった所ですが、若干 nanaco がリードしているようです。

発行元が業界で雌雄を争っていること、また開始のタイミングがほぼ同じであること(さらに両者とも動物のキャラクターが付いていることも?)から、どうしても「競争」というイメージのある nanaco と WAON。上記のような記事や調査が出てくることも理解できるのですが、一方で各々の特徴を詳しく見てみると、両者は若干異なる方向を向いていることが分かります。例えば4月23日付けの日経流通新聞では、nanaco を「情報力」、WAON を「地域網」という言葉で象徴していました:

■ 小売り発、第3の電子マネー離陸 (日経流通新聞 2007年4月23日 第1面)

簡単に言ってしまえば、nanaco の最大の目的は「データ収集」(だから遠くを見渡せるキリンがイメージキャラクター!?)。発行時に取得した個人情報(年齢・性別等)とPOSデータを組み合わせることで、「この商品は個数は出ないもののリピート客を引き付ける要因となっている」など貴重なマーケティングデータを得られるとしています。そのため決済手数料は本部持ちで、ポイント付与率も高め(100円で1ポイント=1円、ちなみに WAON は200円で1ポイント=1円)。運営が負担となっても商品開発に活かせれば十分、という考え方でしょう。

一方の WAON は、「地方の電子マネー」を目指す戦略といったところ。nanaco は上記のような目的から、カード発行の際には個人情報の提示が必要になりますが、WAON では無記名での利用が可能(※電子マネーのみのカードの場合)。まずは使ってもらうという方針で利用者を拡大し、さらにイオンが基盤とする地方の公共施設や公共交通機関でも使えるようにすることで、「地域通貨」として利用してもらうことを目指すそうです。nanaco が電子マネー活用法の空白地域を狙い、WAON は地理上での空白地域を狙っている、と解釈できるかもしれません。

考えてみれば、キリン(nanaco)とイヌ(WAON)は棲み処も違えば、見ているところも違うわけで。さらに言えば、ペンギン(suica)とも異なります。いずれは弱肉強食の生存競争、となるかもしれませんが、当面は平和に共存共栄していくかもしれません。

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