オンラインショッピングにも「おしゃべり」を
オンラインショッピングサイトの進化は、まさに日進月歩の勢いです。色や形から商品を探せるような検索機能があったり、実際の店内を歩き回るようなバーチャル環境が用意されていたり。あらゆる機能が実現済みのようにも感じますが、意外に「あの機能」を見かけることが少ないと思いませんか?ごくシンプルで、今ではまったく珍しくない機能 -- チャット機能です(※チャットと言っても千差万別ですので、ここでは「チャット機能=ユーザー同士がリアルタイムでコミュニケーションを図れる機能」と定義しておきます)。
オンラインショッピングの代表格、アマゾンと楽天を思い浮かべてみましょう。どちらもサービス向上にしのぎを削っていますが、基本的に「お買物」は一人で行わなければなりません。アマゾンなどはリコメンデーション機能に代表されるように、テクノロジーの進化に大きな投資を行っていますが、簡単に実装できるはずのチャット機能は付いていません。きちんと調査したわけではないので、間違いがあったらご指摘いただきたいのですが、現在のショッピングサイトで「チャット機能」と言うと「運営者とユーザーの間のチャット」すなわち「ユーザーサポートのために使われる機能」であるものがほとんどのようです。
ユーザーサポート用に実装しているサイトがあるのですから、チャット機能を用意するのが技術的に難しいということはないでしょう。とすれば、ユーザー間のチャット機能が見当たらないのはそれが不要だと考えられているということになりますが、果たして本当に必要ないのでしょうか?
正直を言えば、個人的には「オンラインショッピングサイトにチャット機能なんていらない」と答えるでしょう。ITmedia 読者の方々の多くも、そんなの無くていいと答えると思いますが、ちょっと思い浮かべてみて下さい。近所のスーパーなどに行くと、おばちゃん達がカゴを片手に立ち話している光景をよく目にしませんか?またちょっとした休憩スペースがあるスーパーなら、そこに座り込んでずーっと世間話しているおばちゃん達がいるはずです。彼女たちにとって、毎日の買い物は一人で来て、無言のまま終わらせるという作業ではありません -- 極論すれば、地元のスーパーがちょっとしたコミュニティとなっていると考えられます。
オンラインとオフラインの買物行動は、もちろん全く異なるものです。「買い物をレクリエーションとして行っているのは年配の人々で、(現在のネットユーザーの中心である)中若年層はお喋りで時間をつぶすことはない」という反論もあると思います。しかしオンラインだからと言って、一人で孤独に買い物を終わらせたいという人々ばかりではないでしょう。オンラインショッピングサイトのチャット機能は、ユーザーの滞留時間を伸ばし、リピーターの増加にもつながると思うのですがどうでしょうか?