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差別化するレジ

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スーパーのネタが続きますが、今日はレジの話。スーパーを訪れたお客様が、レジに期待することって何でしょうか?恐らく多くの場合は、「すぐに精算が終わること」でしょう。急いでいるのに何分も待たされたり、隣の列はスムーズなのに自分の列だけがモタモタしていたりすると、イライラがつのるものですよね。したがってレジが追求すべきは効率性だ、と思われるかもしれませんが、意外な方向性もあるようです:

■ How To 商い -- 列に並びたくなるレジ (日経流通新聞 2006年9月27日 第3面)

接客アドバイザーの北山節子さんが体験されたことを書かれているのですが、あるスーパーに行った際、こんなことがあったそうです:

  • 母とスーパーに行った時、レジで母が小銭を出し始めた。
  • 後ろに何人も他のお客様がいたので、慌てていたところ、レジ係の店員さんは「ありがとうございます。ゆっくりお願いします。」「本当に助かるんですよ。ありがとうございます。」と言ってくれた。
  • さらに袋詰めしながら、「今日のブロッコリー、柔らかくておいしいんですよ。私も買って帰ろうと思ってます」と、私や他のお客様にまで微笑んでくれた。
  • それ以来、母も私も彼女のレジを通るのが楽しみになった。
  • 先日、再びそのスーパーに行ったところ、1つのレジに列ができていた。案の定、先日出会ったレジ係の担当で、「お急ぎのお客さま、こちらにどうぞ」と近くのレジで声をかけても、動くお客様はいなかった。

レジと言えば素早く・無駄なくが当たり前の中で、この対応は異例だと言えます。実際、彼女のような店員ばかりでは、多くのお客様は逆にイライラしてしまうでしょう。しかし彼女のような対応を求めている層があることを、「こちらにどうぞ」と言われても動くお客様がいなかったという事実が証明していると思います。

一見何の工夫もできないような部分や、1つの方向性しかあり得ないと思われている部分でも、実は大きな差別化ポイントとなる可能性があるということをこの例は示しているのではないでしょうか。アメリカに住んでいた時、どこのスーパーでも"Fast Lane"といって一定数以下の商品しか買わないお客様専用のレジが設けられていることに関心したものですが、その逆のイメージで"Slow Lane"などといったものを設置できるのではと思います。待つことをいとわず、おしゃべりしながらゆっくり精算したいというお客様はそちらに並ぶという仕組みにすれば、効率性と共存させることが可能でしょう。

効率性と言えば、僕らが普段使っている情報収集ツールも、効率性一辺倒で設計されているような気がします。もちろん情報収集と効率性は切手も切り離せない関係にあることは分かりますが、実はそれ以外の要素 -- 読みやすさや分かりやすさ、ヘルプ(機能面だけでなく、「用語解説」などといったコンテンツに関するものも)など -- を求めている人々も存在するに違いありません。「レジでは待たされないのが当たり前」という部分から疑ってみる姿勢が、お客様が本当に求めている価値を提供することにつながると思います。

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