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Vista は何を変えるのか?

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今日は東京・新宿のマイクロソフト本社にて開催された、「Microsoft ON@ITmedia オルタナティブ・ブロガー」にお邪魔してきました。このセミナーは、Windows の次期バージョン"Vista"について、マイクロソフトのデベロッパーエバンジェリスト・松崎剛さんに解説していただくというもの。僕も含め、10名程度のオルタナティブ・ブロガーの方々が参加されていました:

5年ぶりのVistaで何が変わるのか?(ITmedia)

Vista は既にベータテストが始まっていますが、残念ながら自宅のPCは古くてNG。会社のPCにベータバージョンをインストールする訳にもいかないので、実物を見るのは今日が始めてでした。"Windows Aero"など、ユーザーインターフェースがかなり斬新なものになっていることもあり、素人目に見ても「新しくなった」という印象です。

セミナーでは「社会がソフトに求める領域」「ソフトウェアが社会に貢献する領域」「開発技術」という3つ側面から解説が行われたのですが、中でも「ソフトウェアが社会に貢献する領域」「開発技術」の解説に時間が割かれ、「新しい技術で社会をリードするのだ」というマイクロソフトの意気込みが感じられました。特に新しいインターフェースの基盤となる"Windows Presentation Foundation"では、メディア+アニメーション+3Dを同時に実現するデモなどもあり、確かに「ビジネスインパクトのあるアプリケーション」の登場を期待させるような内容でした。

しかし、開発者ではなくユーザーとして Vista に関わる人間からすると、「それで何が変わるの?」という肝心な部分が抜け落ちてしまっていたように思います。開発者の方を対象としたセミナーですので、具体的な面にまで話が及ばなかったのも当然かもしれません。しかし「ソフトウェアが社会をリードするのだ」という意気込みは、一歩間違えばプロダクト・アウト的な発想となり、何のための技術革新か曖昧になってしまう危険があるでしょう。少なくとも「アニメーションで動く3Dの正方形の表面で、MPEGのムービーを再生する」というデモからは、具体的な(生活の役に立つ)アプリケーションの姿を思い描くことはできませんでした。

セミナー中にリモコンの例えがありましたが、その例えを使うならば、現在はまだ「赤外線で信号を送信する技術を開発した。これで何か革新的な商品ができるに違いない」というアピールをしているに過ぎない状態だと思います。それをリモコンという形にし、テレビを遠隔操作できるようにし、「ザッピング」という新しい行動を可能にして「カウチポテト」というライフスタイルを生み出す -- 極端な話ですが、そこまでのビジョンを描いて初めて「技術が社会をリードする」という可能性が開けるのではないでしょうか。

ちょっとユーザー寄りの視点になってしまいましたが、ぜひ開発レベルでも「その技術がユーザーの生活をどう変えるのか」という視点を、できるだけ具体的に持っていて欲しいと思います。でなければ、また消費者は「なぜ?」という思いを抱きながらPCの買い替えを強要される・・・ということになってしまうでしょう。

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