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ビジネスに芸名を

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先日 POLAR BEAR BLOG の中で、元マイクロソフトの Robert Scoble が書いた「名刺のベストプラクティス」というエントリを紹介したところ、たくさんのブックマークをいただきました。やはり皆さん、名刺というシンプルながら重要な存在をどう工夫するか、関心が高いようです。

その Scoble による提言の中に、「話のネタになるような名刺にせよ」というものがありました。例えば Scoble は名刺つきの名刺や、ゴムのような素材でできた名刺を持っていたとのこと。しかし奇をてらうにも限度というものがあります。事実、Scoble 自身「サイズや形状は標準的なものを」「スキャナで読み取れるようなデザインを」とも提言しています。一般的なしきたりを守りながら、かつインパクトのある名刺を作るのなんて不可能だ --- という方は、今朝の日経産業新聞に載っていたこんなアイデアはいかがでしょうか:

■ 奇抜なビジネスネーム これぞプロの心意気(日経産業新聞 2006年7月11日 第19面)

芸能界には「芸名」、執筆業には「ペンネーム」というものがありますが、同じ感覚でビジネスでも「ビジネスネーム」を付けて活動してみてはという提言。実際にビジネスネーム制度を実施しているアメニティ(トイレの維持管理会社)や、レンタルのニッケンなどの例が紹介されています。特にレンタルのニッケンでは、名刺に大きく印刷されているのはビジネスネームの方で、本名はその下に小さく表示されているほど。「社員はお互いの本名を知らない」ほど徹底してビジネスネームが使われているのだとか。

僕の名前は「啓倫」と書き、これで「あきひと」と読みます。苗字が普通な分、名前にインパクトがあるようで、「何と読むんですか」と聞かれることがよくあります。外国の方に自己紹介するときには「ジャパニーズエンペラーと同じ発音でアキヒトです」というネタ(?)を自ら使う場合もあるので、名前が相手に興味を持ってもらえるきっかけになるというのはよく分かります。初対面の人に「セルベッチオ中嶋です」などと名乗られれば、思わず「それって何ですか?」と聞かずにはいられないでしょう(ちなみにこれはアメニティで実際に使われているビジネスネームで、「セルベッチオ」はイタリア語でトイレの意味とのこと)。

またビジネスネームには、単に社外の相手にインパクトを与えるという効果だけでなく、オン/オフを使い分ける、組織のフラット化に役立つ、プロとしての自覚を持つ、どんな仕事をしているか相手に伝わりやすいなどの効果があると紹介されています。先日、「リセットする商品」というエントリで手帳がリフレッシュの道具として役立っている(転職などのタイミングで手帳も変えることで、心機一転になる)ことを紹介しましたが、同様に転部/転籍やプロジェクトの開始/終了でビジネスネームを変えることで、リフレッシュの効果を得れるかもしれません。

考えてみれば、ブログやSNSでは各ユーザーが思い思いの名前を名乗っています。僕も POLAR BEAR BLOG ではアキヒトというカタカナ名を名乗ることで、日常生活とは異なるペルソナ(人格)を手にしているような感覚がします。「いきなり会社に芸名を導入するなんて不可能だ」という場合には、社内ブログ/SNSを導入して、そこで自由にユーザー名をつけることを許してみてはどうでしょうか。本名だけを名乗っているだけでは見えてこなかった、人々の意外な一面が見えてきたり、新しい人間関係を作り出すことができるかもしれませんよ。

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