ノスタルジーの道具としての地図
地図は言うまでもなく、道や地形を調べるための道具ですが、ノスタルジーを味わうためにも使えるようです。今朝の日経産業新聞にこんな記事がありました:
■ 新名称に慣れない人でもOK 旧市町村名や境界掲載 -- 北海道地図、ロードマップ(日経産業新聞 2006年7月28日 第17面)
ちなみに北海道新聞のサイトに、同じニュースが掲載されていました:
■ 北海道地図 「平成の合併」版 ロードマップ作製 旧市町村名や境界表示(北海道新聞)
地図製造の北海道地図株式会社が発表した、「グッドナビ北海道ロードマップ」という地図について。いわゆる「平成の大合併」により、道内では212あった市町村が180まで減ったそうですが、この地図には合併前の市町村名や境界線まで掲載してあるそうです。
「新しい市町村名に慣れないユーザーを想定している」とのことですから、合併前の地名・境界を併記したのは「道や地形を調べる」という地図本来の目的を満たすための対応だと言えます。しかし日経産業新聞の記事によれば、併記には次のような理由もあったとのこと:
地名や境界が変わった故郷を「せめて地図上だけでも振り返りたい、と思う人もいるはず」(出版事業部)と考え併記することにした。
北海道新聞の記事でも「思い出のマチが色あせないように」をコンセプトに「生まれ故郷の歴史や文化を新しい町が引き継ぐという気持ちを込めた」と説明しているとの解説がありますし、この地図のもう1つの目的が「ノスタルジーに浸ること」であるのは確かなようです。
考えてみれば、地図は情報のインデックスとして非常に有効な存在です。Google Maps など地図系サービスとのマッシュアップが盛んに行われているのも、「地図に情報をプロットする」ことの便利さ・面白さを多くの人々が実感しているからでしょう。今回の地図のように、「地図+思い出」という発想で商品開発してみても、面白いものがいろいろと考えられそうですね。
またこういった「複数のバージョンを管理する」という仕組みは、IT技術が得意とするところではないでしょうか。地図系アプリケーションでは、縮尺をバーで表示する(クリックもしくはドラッグすることで拡大・縮小が行われる)ものが多いですが、同じように時間の推移もバーで管理できたら便利かもしれません。例えばスライドバーを「過去」の方向にずらしていくと、どんどん地図が古くなっていき、最後には江戸時代ぐらいの古地図が表示される・・・なんてサービスがあったら面白いかも(学習系のソフトで既に実現しているところがありそうですね)。